ポケスペ鬼倒回想録

□第三話 新たなる世界
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深い森を抜けるころにはもう日が見え始めていた。
目的地は聞いたこともない山、『鬼羅』。
三国の境、境界線にある山で標高はものすごく高く、また、住処も高い所にあるらしい。


そこで暮らすほうが肺活量が上がって、いい修業になる。



黒鉄はそう言っていた。



それにしても……と黒鉄の顔を見上げる。




抱かれているから見上げる形になってしまうが……。


「(疲れないのかしら………。)」





もう三時も走っている。(六時間)


(じっー………)


我ながらもなんとも恥ずかしいことをした。



「な…なんだよ?顔になんか付いてるか?」



気づいた黒鉄は白夜から顔をそらした。
顔が紅くなっている。



「あ……」



見つめてたからだ。
ずっと、彼を。



急に恥ずかしさがこみ上げてきた。


「ごごご、ごめんなさい!!そんなつもりじゃなかったんです!!」



「分かったから暴れんな!」



黒鉄は白夜を地面に下ろした。
久々の地面が冷たく感じる。
城の廊下はある意味冷たかったけど。



「どうして私を盗んだの?」




「同じような仲間をほっとけなくて」




「それだけ?」





「こちとらそれだけじゃ済まないんでね」




黒鉄はようやく足を止めて近くの石に座った。


















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