ポケスペ鬼倒回想録

□第二十七話 裏の裏のそのまた裏
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肌が寒い。

身の毛のよだつようなこの感じは一体何だろ
う。

ゆっくりと瞳を動かす。

どうやら布団に寝ていたようだ。

時間を気にする

約束の時間まであとどれぐらいあるのだろ
う。

ぼやけているのか夢なのか、はたまた現実か
分からないが見たことのある風景に、鬼羅山
に戻ってきたのかと起き上る。

が、

「起きました?」

『な………』

すっかり目を覚ますといつもとじゃあ、違う
風景にホワイトは絶句した。

『龍詠!わ、私っ///』

肌寒いと思ったら上着を脱がされていた。

『うぎゃぁあ!』

「大丈夫、まだ手出しはしてないよ」

『よかった……』

龍詠は笑顔を作るがホワイトはそれどころじ
ゃなかった。

『何するの!!』

「なにって……まだ何もしていないけど」

『じゃあ、一体何するつもり!?』

ホワイトが怪訝そうに問うと、

「食べるつもり」

笑顔で返された。

『はぁ?』

「君をね、おいしくいただくつもりだったん
だよ」

『私おいしくないけど。あなた、人肉を食べ
る趣味があったの?』

「こりゃ、重症だな」

ため息をつかれはっとする。

まさか、別の意味?と。

まずは、布団から逃げることにしてみた。

上着は部屋の反対側の椅子にひっかけられて
いる。

走ればなんとかいける。

グラッ

そこで視界が一変した。

天井が瞳の中に飛び込んでくる。

金の装飾に天女や鳳凰の絵がびっしりと書か
れていて、思わず見とれてしまった。

何やってるんだと、自分に突っ込みを入れ
た。

押し倒されたと分かった時にはもう遅かっ
た。

『ちょっと、触らないで!変態!』

「ふ〜ん、抵抗しちゃうと大切なお仲間の首
が胴からぶっ飛ぶことになってもいいのかな
〜?」

『ひ、卑怯な!』

「それは俺にとって最高の誉め言葉♪」

こんな男と………絶対に嫌である。

死んでもいやだ!

『離してっ!』

「イヤ」

髪をほどかれる。

顔が近くまで寄ってきた。

お互いの息を感じるほど近くに。

どうしよう、本当にどうしよう!

ドゴォォォオオオオオオオン

いきなりの突風にホワイトは龍詠にしがみつ
いた。

風だけじゃない。気の破片や石、がれきなど
様々なものが部屋の中を飛びちる。

部屋に一角に穴が開いていた。

そこに見える人影。

最初はゴールドかと思ったが、もっと影は小
さい。

「誰の女に手を出してんだ、このゲス野郎」

埃や塵でまったく視界がさえない。

龍詠は誰だか分からないようだが、ホワイト
には確信があった。

普段は毒舌で、ぶっきら棒で、だけど戦闘に
なると自分を何よりも誰よりも早く助けてく
れる信頼あるあの人。

どうしてここにいるのかは分からないが、影
に向かってホワイトはほほ笑みかけた。

『来てくれたの?』

そうすると、影は嬉しそうに、でもちょっぴ
り恥ずかしそうに俯くのだった。



























〜fin〜
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