ポケスペ鬼倒回想録

□第十五話 勝ち目のない戦い
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「サポートの人がいいからだ」



ブラックは男に槍を突き刺す。
が、服の一部に擦れただけで当たリはしなかった。



「ほう、人間にしてはやるな。素晴らしい」



「サポートの人のおかげだって言ってるだろ!」



再び刃をぶつけ合う。



「さて、私を倒せるか、見物だな。先に私が死ぬか、体力が尽きてお前達が倒れるか。運命の審判だ」



ホワイトと柳の目があった。
鳥肌が立つ。



柳の心に潜入してみるか。



深く目をつぶった。



時が交わり、空間が交差する。



柳がいた。
心の中にいる精神と言う名の柳が。



(この御老体じゃ体も持たないか……。もう少し楽しみたかったがこれも鬼国のため。次で決める)



現実世界に引き戻された。
もう、柳も限界なのか……。



「黒鉄君!柳は次で決めるつもりよ!太刀の動きに注意して!!」



ホワイトの方向に柳が振り返った。



「っ!あいつか!やっぱりあいつか!でもなぜ、次に賭けると分かった……?!人間のくせに……。まがいもののくせに………!」



「特殊能力。そのぐらい、知識に入れとけば?宝の持ち腐れだよ、お馬鹿さんよ」



柳が悔しそうに顔をゆがめる。



「人間如きにやられるなど、私の誇りが許さん!!せめて、道連れだ!!」



「がっ!」



柳はブラックの首を力いっぱい締めあげた。



「どうだ?そのお馬鹿さんに殺される気分は?」



「は……離せぇ……!」



柳の手をブラックはつかむ。



「柳めっ……。ずるい真似を……!」



レッドは鎌を握りしめた。



「近づくとこいつの命はないからな。気をつけろ」



柳は手に力を込めた。



私も戦わないと……。



ホワイトも飛び出そうとしたが、



ガシッ



グリーンに肩を掴まれた。



「お前は戦えない。戦いの邪魔になると切り捨てるぞ」



「………」



ごもっともな言葉で何も返せなくなる。
柱のそばにうずくまった。



まるで現実逃避しているみたいじゃないか。
ブラック君がこんなにも苦しんでいるのに。



遠くからうめき声が聞こえてくる。



「ブラック君……」



苦しんでいる彼を見る事は出来なかった。






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