ポケスペ鬼倒回想録

□第十一話 奴隷商人の目論み
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ジャラ…




鉄がこすりあう音がして、ブラックは振り向く。
この音には敏感なようで顔を曇らせた。




「何?今の音……」




「鉄のこすれる音かしら?」




「鉄……擦れる音……」




ブラックは考える仕草をしてホワイトの横に並んだ。
ブラックは小屋を。
ホワイトは帰り道を見つめる。




仄かに風が吹き、頬を撫でた。




「もう一度見に行く?」




「軍鶏を?」




「もしかしたら密売かもしれない」




「密売?……」




「ホワイト密売も知らないの?」




「基本的人権とか経済的なことは詳しいのよ。こう見ても」




「世間知らずさんか、お姫様」




「お姫様はやめて!!」




ブラックはさっきまでの表情を崩し、にこやかになる。
そしてもう一度、小屋の近くの木に隠れた。




「例え密売だとしても、9000龍は高いよね?軍鶏だよ軍鶏。ただの、軍鶏」




ジャラ……




「いったいどーしてそこまで高いんだか……。金色だったりして?」




冗談を言っているブラックはまだ気づいていないみたいだった。




ジャラ……




ホワイトは口を塞ぐ。




漏れそう……、悲鳴が……。




ホワイトの異変に気がついて、ブラックがようやく小屋のほうを向いた。





「何?本当に金色だっt……?」




ブラックの瞳の動向がかすかに開く。




「そ……そんな…、ま……さか」




やっと理解したようだった。




鎖でつながれているみじめで可哀想な存在を………。






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