La commemoration
□参謀Aの献身
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檜佐木修兵。
そいつは真央霊術院大附属中学の三年生で、男子テニス部副部長で、世界が注目する期待の新星であると同時に俺の幼なじみで親友である。
ぶっちゃけ自慢だ。
更には生徒会の副会長も任され、数多くのテニス大会で新記録をぶっ立て続け、しかも成績優秀で顔も良く生徒から大人気で、なのに決してそれを鼻にかけることはしない。
かなり自慢だ。
………そんな自慢の親友にたった一つだけ難点を挙げるとしたら。
「なあ阿近。どうしたら拳西をさりげなくデートに誘えるかな」
…………これだ。
「……どうも何も、普通に遊びに行こうって誘えばいいだろ」
「いやだってさ、拳西テニス馬鹿で鍛練馬鹿だし」
「…一緒に自主練しようって誘えばいいんじゃねぇの」
「それじゃ部活と変わらねぇもん!!」
「……まあ、確かにな」
「かと言って遊園地とか柄じゃないし、水族館はこれと言った催し物やってないし、映画は好みが分かんないし…あああもう頭プシューってなる!!」
…お分かりいただけただろうか。
そう、ぱっと見完璧で自慢の俺の親友である檜佐木修兵は恋愛面において非常に面倒臭い奴だった。
奴の想い人は、まあさっきの会話から察せられるだろうが一応説明しておこう。
六車拳西。
修兵や俺と同じく真央霊術院大附属中学三年生。
これまた同じくテニス部所属で、しかも部長。
テニスの実力はかなり上位で、ジュニア大会では何度も入賞している実力派。だが中学に入ってからはプレイヤーよりも指導者として部内で活躍している。
一応付け加えておくが、男、である。
まったくこの手の相談は今月に入って何十回目だろうか。つか、そもそもなんでこんなことになったのか。
俺は静かに眼鏡を押し上げながらそう呟いた。勿論胸の中で。