上琴小説

□初デート
2ページ/7ページ


〈3〉

翌日。
上「悪い、待ったか?」
美「遅いわよ!女の子待たせるなんてどういう神経してんの!?」
到着早々怒られる上条。
時間は午前11時。
2人はとある公園の前で待ち合わせをしていた。
上「怒るなよ…つーかまだ待ち合わせの30分前だろ?何でこんなに早く来てるんだ?」
つまり、美琴は30分前よりも早く到着していたということになる。
美「え…と。そ、それは…その…」
美琴は緊張と嬉しさで早く出て来たなどと言うことは決してできなかった。
美「アンタこそ、どうしてこんなに早いのよ!」
無理やり話題を転換させる。
上「…」
美琴の予想外の言葉に上条は固まってしまった。
理由は美琴とほぼ同じといったところだろう…。
上「べ、別にいいだろ!それより早く行こうぜ」
美「あ、待ちなさい!」
上条のあとを小走りで追いかける。
雰囲気だけなら初デートっぽかった。
ちなみに、昨日のメールはあの後「デートしよう」がなかなか切り出せず長引いたとか…。


〈4〉

2人が向かった先はセブンスミスト。
こちらは美琴からのリクエストだ。
ベタに買い物をしようということで。
上条は『Seventh mist』と書かれた看板を見上げた。上「なんか入りづらいよなぁ…」
第7学区の有名洋服店は休日となれば来客だらけだ。美「気にしないの。こ、恋人なんだから」
美琴は強引に手を引いて店内に入る。
常盤台のお嬢様と右手以外は何でもない男子高校生のカップルなんて、周りから見ればどう思うだろうか。その後、2人はエレベーターを使い、上の階へ移動する。
美「ここね」
上「なぁ…この辺女子の方々しか見当たらないんだけど」
美「仕方ないじゃない」
美琴に華麗に流された上条は顔をしかめた。
確かに周りに男子はあまりいなかった。
上「まあいいけどさ。あんまり長引かせるなよ」

しかし、早く終わらせろという上条の幻想は打ち砕かれた。
上条は服選びに対する乙女心を少しも理解していなかった。

美「ねぇこれ可愛い!!」
上「あぁ」
美「こっちも良いわね!」上「あぁ…」
美「これ似合うかな?」
上「似合うっしょ…」
美「何でテンション低いのよ!?」
不慣れな上条はこんな感じである。
彼は服選びなどほとんどこだわらない。
セールがやっていたら適当に籠に突っ込むくらいだ。上「服なんて着れればいいだろ…」
美「ぜんっぜんわかってない!服選びは何よりも慎重に行うものなのよ!」
いつもに増して美琴は強気だった。
まぁ、上条はそんな美琴も可愛く見えたが。
そして、その勢いで上条は禁断のセリフを言う。

上「つーか、…お前なら何着ても可愛いぞ…」

さすがに普段は無神経な上条も照れていた。

美琴は。

美「な…な…」

その倍は照れていた。

美「何言ってんのっ!!」

危うく服屋は電撃の海になるところだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ