上琴小説

□初デート
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〈1〉

常盤台女子寮の夜は比較的静かである。
だが、とある一室の少女の様子はそれとは真逆のものだった。
御坂美琴はベッドの上でケータイを開いては閉じ、開いては閉じを繰り返している。
美「(何で緊張してるのよ…私)」
やっとのことで『新規メール作成』の画面にたどり着くと、震える右手で文字を打ち始める。
別に寒いからではなく緊張しているだけだ。

宛て先は上条当麻。

つい最近“両想い”が発覚した人物である。
つまり、上条と美琴はただ今恋人状態な訳だ。

美「もう…何て打てばいいのよっ!」

さっきから文字達は2行目にも到達しないうちに何度も消されている。
無理もない。

“初デート”の要求なのだから。

美琴はケータイを握ったままベッド上をゴロゴロと転がる。
疲れているのか照れているのかよくわからない…。
他人から見れば間違いなく不審な動きなのだが、幸いルームメイトの白井黒子は入浴中である。

美琴は「もういいわ!」と投げやりに言って文字を打ち始めた。

【明日暇?】

熟考した結果、なんと5文字以内におさまった。


〈2〉

一方、上条当麻は宿題という物と格闘中だった。
テーブルには問題集が広がっているが、表現するなら真っ白だ。
上条にとってはレベル5や聖人よりも宿題の方が強敵なのである。
上「わっかんねぇなぁ…」ダメ学生上条はシャーペンを放り出して後ろに仰向けに寝っ転がる。
インデックスはというとテレビに熱中してしまっていた。

すると、タイミングを見計らったようにケータイが鳴る。

上「誰だ?こんな時間に」上条はケータイを開いてメールをチェックする。
そこには御坂美琴の名前があった。
現在の上条のオンリー・マイ・プリンセスである。

上「み、御坂!?」

自分の彼女の名前を見てトキめいてしまった男子高校生。

と、その時。

イ「何?とうま」
上条の小さな叫びにインデックスは反応する。
上「えっ…あー、別に何でもねえよ」
イ「何でもないはずがないんだよ!」
インデックスはテレビをリモコンでぶっちり切って上条を睨みつける。
上条は起き上がってテーブルをはさんでインデックスと対になった。
上「あの…インデックスさん、怒ってます?何もした覚えはないのですが」
イ「…とうま。何か私に隠し事してない?」
インデックスは不機嫌オーラを全開にする。
不機嫌な理由についてはここでは触れないでおこう。上「別に何もしてねえよ」イ「じゃあ、どうしてケータイでんわを見て顔が赤くなってるの!?」
怒りのボルテージが上がっていくのを、上条は感じずにはいられない。
上「え?マジ?いや、決してそんなことはない!」
上条はケータイを勢いよくパタンと閉じた。
イ「本当だもん!で、誰だったの?女の子でしょ!女の子なんでしょ!!」
上「だとしてもどうして怒ってるんだよ!」
イ「やっぱりそうなんだ…と〜う〜まぁ〜…!!!」
上「何でえぇぇぇぇ!?!?」
ガブッ…。

…その後、インデックスは口もきいてくれないほどテレビを見入った。
シスターさんでも嫉妬の1つや2つくらいしてしまうのだろう。

上「痛てて…」
噛み付かれた痕跡を気にしながら、上条はさっき見れなかったメールの中身を確認する。
が、すぐに目を丸くすることになった。
上「…はい?」
お嬢様らしからぬ4文字に上条は適当に返信した。
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