上琴小説

□本当の気持ち
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〈1〉

夕方になり、学園都市はオレンジ色に染まっていた。
学生が大半を占めるこの街は多くの生徒が帰宅途中だ。
上条当麻はいつもの帰り道をカバンを肩に担ぎながらぶらぶらと歩いていた。
上「はぁ〜疲れた…」
また今日も退屈な授業だった、と振り返る上条。
何の不幸にも巻き込まれずに帰宅できますようにと願っているところだ。

しかし…。

「ねぇ君」
上条は数メートル後ろの方で声がしたので振り返る。そこには見慣れた光景が広がっていた。
上「はぁ…不幸だ」

上条の目に映ったのは常盤台のレールガン、学園都市7人の内のレベル5の第3位、御坂美琴だった。

「お嬢ちゃん今暇かい?」

上条はため息を吐く。
美琴が不良に絡まれることが何回あっただろうか。

上「(まぁどうせ…あいつのことだからビリビリ一発かまして終わりだろ)」
上条の中では、助けに行くと結局美琴に勝負を挑まれるというサイクルができあがっていたため、助けに行くのに気が引けた。
助けると言ったらその対象は不良をさすのかもしれないが…。
美琴は黙って3〜4人の不良の前を通り過ぎる。
「あれ、どこ行くの?」
美「アンタ達に付き合ってる暇、ないんだけど」
見下すような口調に不良は不機嫌な顔で。
「てめぇ!!」
上「(あ〜ぁ…電撃くらうぞ…)」
上条が憐れんだ目で彼らを見る。

だが、御坂美琴の圧倒的勝利を確信した瞬間。

バチンッ!

上「え…?」
と、音がした。
それも、電撃ではなく人を殴るような音。
上条は自分の目を疑った。

“美琴が”不良に平手で殴られたのだ。

バランスを崩した美琴はそのまま地面に倒れ込む。
上「ありえねぇ…あいつが黙って殴られる訳が…」
独り言を言いつつ状況を認識する。
そして、気が付くと上条は不良の前に立ちふさがっていた。
「ああ?何だお前」
上「テメェら…」
「は?」
怒りに満ちた右手の拳がとぶ。
想定外の強い力に不良の1人が吹っ飛ばされた。
「ってぇな…お前!!」

しかし、不良が反撃に出ようとした刹那。

バチィッッ!!と。

「あああアァァァッッ!!」

上「え?」
突然、電撃が落ちる。
言わずとも知れたレベル5クラスの電撃だ。
とっさに右手で防いだ上条以外が黒焦げになった。
不良達は気を失って地面に伏せる。

美「また…ヒーロー気取りのつもりなの…?」

上条は驚いたような顔をしていた。
美琴に“異変”を感じたからだ。
上「御坂…?」
美「何よ…」
美琴が起き上がる。
その際にも足元がフラついた。
上「お前、どこか具合でも悪いのか?」
美「だから、何よ急に…」
上「お前が不良なんかに黙って殴られるなんてありえねえだろ」
美「うるさいわね…ちょっと油断してただけ…よ…」
直後。

フラッ…と。

上「御坂!!」
美琴は意識が遠退いていくのを感じ、その場に倒れた。
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