勿忘草の心3

□1.経過
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「七花先輩……オレ、先輩のことが好きです。愛してる」
「……っ」
「十年間、貴女のことだけ見てきました。貴女が欲しくて仕方なかった。……亮斗さんと違って七花先輩は生きてるから、オレは数えきれないくらい嫉妬してきた。山本に、獄寺君に、ヒバリさんに、ヴァリアーに」
夜景の向こうのタワーが、色を変えた。
人工的な光の粒が星よりも強く輝く中。
オレは初めて、先輩の意思を黙殺した。
「オレの“愛”は…………それでも、七花先輩の持つ“愛”より軽いですか?」
先輩が願っているのは、いい後輩のオレだ。先輩への想いは憧れでしたと笑って、新しい恋をするオレだ。
そんなこと、痛いほどにわかってる。
だけど今回ばかりは、先輩の願いに応えられない。
「それ、は……そんな、こと…………」
子供の頃の愛は、綺麗だった。
大人になってからの愛は、綺麗なままではいられない。
「七花先輩。オレの愛は軽いと思うなら、オレをここで振ってください。オレの愛の覚悟を認めてくれるならーーーー」
今から刻むのは、断罪の言葉。



















「これからオレがすることに、抵抗しないでください」


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