勿忘草の心2

□3.秘密
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「マフィアのことが知られれば、ボンゴレに恨みを持つ奴らに七花が狙われるかもしれない。お前が人殺しだってわかれば、七花のお前を見る目だって変わるかもしれねーんだぜ?」
「…………」
ベルフェゴールは落ち着きを取り戻した。手持ちぶさたになったのか、浮いていたマーモンを抱きしめる。
「ちょっとベル、離してよ」
「跳ね馬さぁ」
マーモンの訴えは勢いよく無視し、ベルフェゴールはオレに尋ねた。
「なんでそんなレア情報、オレに教えたわけ?」
オレはここで、ようやく本題に入った。わざわざ情報を知らせたのは、この取引のためだ。
「オレの提案ってのは、情報の交換だ。……お前の知ってることも、教えてほしい」
「……どいつが七花を好きかってこと?」
オレはうなずいた。
ベルフェゴールは軽く鼻を鳴らして、頭の後ろで手を組む。
「別にいーけど、オレが知ってんのはボスだけだぜ?」
「ザンザスが!?」
オレは一番あり得ないと思っていた答えに、目を見開いた。あの、ザンザスが。
いや、あのザンザスまでもが?
オレは改めて、自分がどれだけ厄介な相手に惚れたのかを知った。
恭弥を、ベルフェゴールをすんなり御し、スクアーロにあんな顔をさせ、シャマルに愛され、ザンザスにまで想われる七花。
恋敵が多すぎる。きっと他にもいるんだろうしな。
そんなボンゴレのプリンチペッサは、何かを抱えている。出会った時からずっと抱えていた“何か”。オレはそれをまだ知らない。
ただ、オレの勘が正しければ、七花の“何か”は毎日彼女がつけている、あの銀のペンダントにあるような気がする。
オレはその“何か”を共有するに値する相手と、思われているのだろうか。
不安と期待の入り混じった気持ちで、階段の方を見つめる。このイタリア旅行中に、何か教えてくれるだろうか。
オレはそれを期待しつつ、少し怖がってもいた。






君のどんな過去も受け入れる覚悟はあるけれど。
オレの過去まで尋ねられたら、……オレは答えられるだろうか。


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