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ー翳の回廊ー
見つけてしまいましたね…?
※注意書※
表に置けないダークな短文、または大人向けテイストな短文を衝動的に載せています。
暗い話や過激な表現が苦手な方、うっかり迷い込んでしまった貴方は速やかに宴の広間までお戻り下さい。
◆耽溺(兼政)
「や…いやあっ…!!」
書物の香る一室で、兼続はまだ幼さの残る青年の体を組み敷く。
兼続が美しい隻眼の青年を攫おうと決めたのは、もう一月も前の事だった。
「これ程毎日抱いているというのに、まだ抵抗するのか政宗?」
「こんな事…慣れる訳が無かろう…っ」
「体の方はすっかり馴染んだように思えるが?」
「っあぁ…!!」
少し手を加えただけで、しなやかに反り返る体。
形の良い唇から漏れる甘い掠れ声が可愛くて、兼続は繊細で巧みな愛撫を政宗に施す。
「どうした、もう全身が真っ赤だぞ」
「ぃ…やああっ…!!」
頭では拒絶しながらも、兼続の思うままに身をくねらせる政宗の様子は、酷く淫らだった。
「厭っ…厭じゃ…もう止めっ…!」
「駄目だ政宗。お前に考える頭は要らない」
「ひ…んっ…ぁっ…ああ…ああっ!!」
内部を掻き回される度に、何かが零れ落ちてゆく。
僅かに残る理性にしがみつきながら、政宗は必死に記憶を巡らせる。
「何故…こんな…っ」
優しい兼続が好きだった。
叱られる時にも感じる、温かみのある声。
その大きな手で、優しく髪を撫でられるのが好きだった。
だが今は。。
「あっ…ぅ…!」
ただただ劣情を煽るためだけに肌を滑る指先を、蛇のように感じる。
絶え間なく投与される快楽は、まるで罰を与えられているかのようだ。
「やっ…兼続…頼む……っ」
泣き濡れた瞳で縋るように見れば、兼続は宥めるように甘い接吻を落とす。
時折見せるその優しさが、ますます政宗の心を掻き乱してゆく。
「ぐすっ…厭じゃ…もう…もう…っ」
「おかしくなりそうか?そうとも、それでいい」
「なっ…ひあっ!あああっ!!」
後ろから犯しながら、兼続は精液にまみれた政宗自身をなぶるように弄ぶ。
「あっ…あっ…あっ…あっ!!」
あっという間に絶頂の際に押し上げられ、政宗は細い悲鳴を噛み殺す。
「厭…厭っ…やあ…っ!」
悦楽の底に突き堕とされぬよう、政宗は畳の目に思い切り爪を立てる。
「っ…あっ…あああーっ!!」
が、やがて一際激しく突き上げられると、政宗は膝から崩れるように気を失った。
「政宗…」
糸が切れたように倒れた政宗を、兼続はそっと抱き締める。
今まで政宗を奮い立たせる為に叱咤してきたが、それでも政宗の奥に潜む悲しみは消せなかった。
恋人同士になり共に眠るようになってからも、政宗は決まって父を殺す悪夢に魘され目を覚ます。
そんな政宗を救いたいと思った。
が、兼続がいくら強く抱き締めて眠っても、結果は同じだった。
やがて兼続が行き着いた先はー、
「かねつぐ…」
親を求める童子のように舌足らずな口調で、政宗は兼続の襟に縋りつく。
「ん?どうした政宗」
「ねむい…」
「そうか、では布団まで連れて行って遣ろう」
「うん…」
抱き上げられたまま甘えるように顔を擦り寄せる政宗が、兼続は可愛くて仕方ない。
大事そうに夜具の上へ下ろすと、兼続はその白い胸元へと慣れた動作で指を滑らせる。
「はぁ…かねつぐ…!」
「気持ち良いか、政宗?」
「…んん…っ」
少し恥ずかしそうに身を捩りながら胸を突き出す政宗に、兼続は優しく愛撫を施す。
「素直だな」
「…ふ…ぁんっ…!」
「可愛いぞ政宗、今日も快楽に溺れさせて遣ろう…お前が二度と怖い思いをしないように」
耐え難い罪悪感から政宗を解き放つ為、兼続は最も卑なる道を選んだ。
元の人格を擦り潰された政宗は、今や兼続だけの無垢な赤子だ。
「あっ…かねつぐ…かねつぐ…っ…」
時折、政宗は兼続の背中に爪で酷い傷をつける。
だが兼続はそんな所も愛しいというように、政宗を抱き締める力を強くする。
「…つぐ…かえして…っ…」
「ん?」
「かね…つぐ…わしは…」
途切れ途切れに紡がれた言葉を、兼続は今日も聞かない振りをする。
「大丈夫だ政宗、もっと深く抱いて遣る。政宗…お前は生涯私が守る」
「ゃ…ちが……あっ…んっ…あああーっ!!!」
政宗の虚ろな瞳に宿った最後の心は、溢れ出す悦楽の涙に紛れ、やがて行方知れずとなった。
2013/08/12(Mon) 14:58
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