ー翳の回廊ー

見つけてしまいましたね…?

※注意書※
表に置けないダークな短文、または大人向けテイストな短文を衝動的に載せています。
暗い話や過激な表現が苦手な方、うっかり迷い込んでしまった貴方は速やかに宴の広間までお戻り下さい。
◆嫌悪の情(兼政) 

「うっ…止めよ…!!」

足掻く華奢な体を、兼続は乱暴に床に縫いつける。

「ふざけるな!!離せ!!」

「キャンキャンうるさい山犬だ」

喚く政宗の声に眉をしかめながら、兼続は自らの衣を脱ぎ捨てる。

そして間髪入れず、今度は政宗の着物の合わせ目に手を掛けた。

「なっ、何をする!?」

唐突な行動に驚く政宗だが、小袖の裾を袴から引き抜かれるにあたって、初めて今の状況を認識した。

「この不埒者っ!!」

馬乗りで押さえつけてくる男に蹴りで応戦しようとするも、床に組み敷かれた状態では反撃もままならない。

そうこうする内兼続は器用に政宗の袴を外し、その下肢にまで手を伸ばす。

「馬鹿め、気でも狂ったか!!」

「言った筈だ。吠えるな、耳障りだ」

「あっ!!」

首筋に噛みつくような接吻を受けた相手が気を散らしている隙に、兼続は政宗の下着をするりと引き抜く。

そして狼狽する政宗の足を膝で開かせると、兼続は政宗の隘路に強引に侵入した。

「大人しくしていろ」

「ひ…っ!!あっ!?っっあ゛ーっ!!!」

ろくな前戯もない一方的な行為は、最早只の暴力だった。

呼吸もままならない政宗は苦し気にもがくが、それでも兼続は侵略を止めようとはしない。

「がっ…ぁっ…うぐっ…うああっ…!!」

気の遠くなるような痛みに、政宗の額からは玉のような汗が噴き出す。

その苦痛の表情を見下ろしながら、兼続は淡々と作業に没頭している。

「ぐ…うっ…ぃ…ぎっ…」

噛み締めた歯の隙間から、押し殺された悲鳴が漏れる。

「うっ…ぐすっ…ひっ…ぐ」

いつしか政宗の左の瞳からは、悔しさからか苦痛からか、涙がぼろぼろと零れていた。

「兼続貴様、殺して遣る…絶対に殺して遣るっ…!!」

赤く泣き腫らした瞼から、政宗は兼続を睨みつける。

だがその顔は、既に汗と涙でぐしゃぐしゃだった。

「……酷い顔だ」

そんな政宗の顔を覗き込むと、兼続は作業を止め感情の不明瞭な声で感想を漏らした。

「誰の所為で…!!」

「ああ、私だな」

非難と憎悪の目を向ける政宗にそう呟くと、兼続は乱れて貼りついた政宗の髪をそっと手で撫でつける。

「な、に…」

加害者の予想外の行動に、政宗は濡れた瞳を兼続に向ける。

「私はお前を見ていると、時々酷く苛立つのだ。だから不義なお前を懲らしめれば気持ちが晴れると思ったのだが…どうやら少し違ったようだな」

「は…?ぐっ…ぅ!!」

怒りも忘れ呆気に取られていると、突然政宗の体内から、兼続の大きな楔が引き抜かれる。

それと同時に、体液と血の独特の臭いが周囲に立ちこめた。

「うっ…ううっ…」

圧迫感からの解放に微かに安堵する政宗の腰に、兼続の腕が再び絡みつく。

「やっ…厭じゃ離せ…離せっ…離っ……んぐっ…!?」

途端に火がついたように暴れ出す政宗の唇を、兼続が塞いだ。

が、兼続の舌が政宗の口内に差し掛かった瞬間、その舌先に鋭い痛みが走る。

「っ…!」

「はあ…はあ…っ!!無礼者!貴様など殺して遣る…っ!!」

「政宗、」

舌の痛みに微かに眉を寄せながら、兼続は包み込むように政宗の背を抱く。

「ぐすっ…っ触るな!!」

「聞け、政宗。困った事に今気がついたのだが…私はお前に惚れているらしい」

政宗を胸に抱き、その背中を落ち着かせるように撫でながら、兼続はぞっとする程優しい声で低く囁いた。

「な…っ」

「政宗、私の物になれ。そうすれば、今度は優しく抱いて遣る」

痛みと恐怖で強張っていた政宗の肩から、微かに気力が抜ける。

「っ…誰がそのような甘言に惑わされるものか!!」

目の前にあった兼続の肩に噛みつくと、政宗は血が滲む程に歯を立てた。

「…それでこそ、お前だな」

政宗の顎を掴むと、兼続は自らの血で汚れた唇を指でなぞる。

「っ…触るな…!」

「悪いが無理な相談だ」

「儂は…一生貴様を赦さぬ…っ!」

「赦さなくとも構わない。だが怯える姿は十分堪能した…次は快楽に我を失うお前の顔が見たいものだな」

「やっ…止めろ……ひっ!?…ゃ…いやっ…厭ああーっ!!」

思考を埋め尽くすように、兼続は政宗の情欲に火を着ける。

幾度も翻弄され乱される中で、己を支配するその行為が嫌悪か悦楽か…政宗にも遂に解らなくなった。

2013/07/15(Mon) 18:08

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