ー翳の回廊ー

見つけてしまいましたね…?

※注意書※
表に置けないダークな短文、または大人向けテイストな短文を衝動的に載せています。
暗い話や過激な表現が苦手な方、うっかり迷い込んでしまった貴方は速やかに宴の広間までお戻り下さい。
◆不信(幸政) 

「政宗殿…何故私以外の男と親しくするのですか?」

「ただ仕事の話をしていただけじゃ。貴様は儂が信じられぬのか」

もう幾度目かも分からない遣り取り。

埒の空かない問答に、政宗は苛立ちを募らせていた。

「幸村、儂は貴様に惚れておる。それだけでは不足か」

「言葉だけでは信じられません。人の心など、瞬く間に形を変える雲のようなもの」

「では、どうせよと」

「証を下さい」

政宗を強く抱き寄せると、幸村は噛みつくように唇を重ねた。

「あっ…あっ…あっ…あうっ…!」

幸村の厚い胸板の下で、政宗は髪を振り乱して悩乱する。

政宗は幸村を愛している。

幸村の体温と情熱、肌を滑る手の感触…何もかもが気持ち良くて、愛しくて仕方ない。

しかし…政宗は幸村に抱かれながらも、その心とは相反する決断を今日下そうとしていた。


「…別れよう」

情事の後。

身支度を整えた政宗は、絞り出すように言った。

「儂は貴様を好いておる。じゃが、貴様はそれを信じられぬと言う。このままでは…きっとお互い駄目になる」

「政宗殿…何を…?」

「言葉の通りじゃ、解らぬか?」

突き放すように重ねれば、幸村は理解出来ないと言うようにその表情を強ばらせた。

「…心変わりをなされたのですね」

「違うっ!何度違うと…!!!ぐっ!?」

言葉の終わりを待たずに、政宗の体は再び床に押し倒された。

「ゆ…き…」

「赦さない」

「っ…止せ!もう止めじゃ!儂はもう貴様には抱かれぬ!」

「黙れ」

ぞっとする程冷たい声で、幸村は政宗を静止させる。

その瞳には赤々と、狂気と憎悪が燃えていた。

「い、厭じゃ…」

愛しい男が見せた初めての顔に、政宗は恐怖する。

震える体で後退ろうとする政宗に、幸村はふと表情を和らげる。

「そんなに怯えないで下さい。愛しい貴方を傷つけるような事はしません。ただ…良い事を思いついたのです」

「…?」

政宗の肩を優しく抱くと、幸村ははっきりとした声で耳元に囁く。

「政宗殿。私の子を生んで下さい」

「な…に」

信じられない言葉に、政宗は耳を疑った。

「貴方が私の子を孕めば、もう何も心配は要らない。そうでしょう?」

「貴様は何を言っておるのじゃ!!男に子が成せる訳はなかろう!」

「成せぬのならば、成すまで試せばいい」

「離せ!!貴様は…貴様は狂ってる!!」

幸村から逃れようと身を捩る政宗だが、抵抗も虚しくその足を開かされる。

「いっ…やだ、厭…うーっ!!!」

「ああ、中にまだ先程の余韻が残っていますね。でも…まだまだ足りない」

「ひ…あっ!!」

「もっと溢れる程に注がなければ」

「や…厭…やだ…っ!!ああっ!!」

強引に開始される注挿に拒否の意を示すが、幸村に慣らされた体はそれでも勝手に感じ始める。

「んっ…んっ……ゃ…っあぁ!!」

「可愛らしいですよ政宗殿…もっと奥まで私を受け入れて下さい」

「ん…やぁ…幸村っ…止めっ…苦し…っ!」

恐怖と快楽に溺れながら助けを求める政宗の頬を、幾筋もの涙が伝う。

その涙を唇で愛し気に拭いながら、幸村は何度も何度も政宗を貫いた。

「うあっ…あああっ!!もう…壊…れるっ…!!」

「壊れればいい。貴方もこのまま狂ってしまえばいいのです」

「厭だ…いやだ…いやっ!!」

政宗を絶頂の闇に突き堕としながら、幸村は歪んだ愛を体内に吐き出す。

「貴方が我が子を孕むまで、何度でも抱いて差し上げますよ」

「ひあっ…あああっ!!!駄目…っ…幸村…ゆきむら…!!やっ…いやっ…いやああぁーっ!!」

熱い飛沫が内部に叩きつけられると同時に、政宗の中で白い何かが弾けた。

「政宗、貴方は私の物だ」

ぷつり、と糸の途切れた音を、幸村は聞いただろうか。

その日以来、政宗は幸村の望むままに体を捧げる従順な『妻』となった。

2013/06/15(Sat) 14:09

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