無双的駄文

□※代償/幸政
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遡る事一刻前。

政宗は屋敷の渡り廊下で小姓と戯れていた。

頭を悩ませていた政治問題も解決し、気が弛んでいたのだと思う。

山の様な政務に追われていた政宗は、「そういうこと」には暫くご無沙汰だった。

そこで遂、溜まった欲求を発散させようという気持ちが働いてしまったのだ。

政宗とて男。

衆道は武士の嗜みであり、少年を抱いた経験も勿論ある。

だが近頃では真田幸村という恋人が居る為に、小姓と関係を持つ事は控えていたのだが…。

あの時は魔が差した、としか言い様が無い。

そして当然、悪い事には罰が下る。


「政宗殿」

背中から声を掛けられ、びくりとする。

恐る恐る振り返れば、其処に幸村が立っていた。

「ゆ、幸村…」

状況は最悪。

政宗の腕は小姓の腰をしかと抱いており、小姓の方も甘えるように政宗に擦り寄っている所だった。

政宗の背中を冷たい汗が流れる。

今正に、二人が隣の部屋に消えようとしていたのは一目瞭然だった。

幸村は目を見開いたままで固まっている。

政宗は一瞬躊躇ったものの、速やかに小姓に退出を命じた。

「済まぬ…下がれ」


城仕えを心得ている小姓は、言われるがまま政宗の指示に従って奥へと下がった。

「…お邪魔だったでしょうか」

その間に我に帰った幸村が足を退こうとするのを政宗は呼び止め、半ば強引に離れに引き込んだ。
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