無双的駄文
□竜の味噌汁/兼→政←幸
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「騒がしい…何なのだ一体」
孫市に続いて部屋を飛び出した慶次と幸村の背中を、兼続は怪訝そうに見送る。
奥に取り残された兼続は、丹念に茶碗を観察していたが、ふと外からの光が遮られる気配がして顔を上げる。
「山犬」
見れば目の前に、仁王立ちする政宗の膝があった。
「邪魔だ山犬。私の視界を塞ぐとは無礼であろう」
再び茶碗に目線を落とし、兼続が漸く口を付けようとすると。
「ふ…ふふふふ」
ガシャン…!!
白刃が鼻先を掠め、一瞬のうちに陶器が真っ二つとなって落ちた。
「何をする!物を粗末にするな山犬!!」
びしょ濡れになる袴にも構わず、器を壊した説教を始める兼続。
が、爛々と闘志を燃やす政宗の耳には届かない。
「黙れ!!貴様は…もう失せよ馬鹿めーっっ!!」
一喝すると同時に、政宗は得意の二丁拳銃を抜き放つ。
至近距離な分、いつもより本気の殺意が感じられる。
瞬間、兼続は後ろへ飛んで手近にある卓を裏返し応戦する。
「な、避難して正解だったろ?」
激しい銃声を後ろに聞きながら、退避した三人組は、縁側で持ち出した茶をのんびりと啜っていた。