無双的駄文
□竜の味噌汁/兼→政←幸
3ページ/12ページ
「あ!こちらに居られましたか!!困ります、勝手に上がられては…!!」
聞き覚えのある声に政宗が振り返ると、普段来客の応対等を任せている側近の一人だ。
「何じゃ、騒がしい」
軽く眉間を寄せると男は恐縮し、口籠もる。
「と、殿、申し訳御座いませぬ。その…」
オロオロする男がちらと見た先には、例の男直江兼続。
「懸命にお止めしたのですがこちらの方が…」
「案内不要、と申したまで」
きっぱりと言い捨てる兼続に、成る程、と政宗は呆れた。
道理でいきなり目の前に、この白服が現れた訳である。
大方、幸村達と部屋に通された時、係の者も待たず強引に控えの間を突破してきたものであろう。
側近が束で掛かっても、知勇を誇る直江兼続の突進を容易に止められる訳も無かった。
「はぁ…」
と、政宗は脱力する。
最早怒る気力も失せた。
「良い…此奴は儂の客じゃ」
気の毒な側近に退がるよう指示すると、政宗は引き続き孫市に案内を頼み、自分は茶の支度に取り掛かった。