無双的駄文
□愛のお仕置き部屋/兼政
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「「何故…こんな事に…」」
揃って、深い溜め息を吐く。
恐らく出逢って初めて、二人の心は今一つになっていた。
遡る事、約半刻前…
『こらーっ二人共、仲良くなさいっ!!』
顔を合わせれば喧嘩する兼続と政宗に、遂にねねの雷が落ちた。
例の如く下らない言い争いをしていた二人は、突如現れた珍入者に、思わず顔を見合わせる。
「これは北政所様」
さっと居住まいを正す政宗をすり抜けて、ねねは兼続と政宗の間に仁王立ちする。
「兼続、政宗、喧嘩しちゃ駄目でしょ?」
二人の顔を交互に睨んでくるねねに、一瞬たじろぎながらも兼続は涼しい顔で答える。
「お言葉ですが政所様、これは喧嘩ではありません」
「本当?政宗」
兼続の言葉を確認するべく、ねねは政宗に視線を向ける。
「え、ええ…まあ」
喧嘩常習犯としてねねに目をつけられるのは御免だと、政宗も兼続の調子に合わせてぎこちない笑みを浮かべる。
が、しかし。
「義の何たるかを知らぬ山犬を、ただ躾ていただけです」
ねねの前でも相変わらずの義理論を振りかざす兼続に、政宗は反射的に叫んでいた。
「だから、誰が山犬じゃ馬鹿めーっ!!」
そのまま兼続に掴み掛かりそうになる政宗に、ねねの眉が吊り上がる。
「喧嘩は駄目って言ってるでしょ!?悪い子だね!!」
「あ…」
不味い、と政宗が思ったその瞬間、二人の運命は決まったと言っていい。
「喧嘩両成敗だよ!!」
こうして今、二人仲良く座敷牢の中に居るという訳だ。