無双的駄文

□愛のお仕置き部屋/兼政
1ページ/6ページ


「「何故…こんな事に…」」

揃って、深い溜め息を吐く。

恐らく出逢って初めて、二人の心は今一つになっていた。

遡る事、約半刻前…


『こらーっ二人共、仲良くなさいっ!!』

顔を合わせれば喧嘩する兼続と政宗に、遂にねねの雷が落ちた。

例の如く下らない言い争いをしていた二人は、突如現れた珍入者に、思わず顔を見合わせる。

「これは北政所様」

さっと居住まいを正す政宗をすり抜けて、ねねは兼続と政宗の間に仁王立ちする。

「兼続、政宗、喧嘩しちゃ駄目でしょ?」

二人の顔を交互に睨んでくるねねに、一瞬たじろぎながらも兼続は涼しい顔で答える。

「お言葉ですが政所様、これは喧嘩ではありません」

「本当?政宗」

兼続の言葉を確認するべく、ねねは政宗に視線を向ける。

「え、ええ…まあ」

喧嘩常習犯としてねねに目をつけられるのは御免だと、政宗も兼続の調子に合わせてぎこちない笑みを浮かべる。

が、しかし。

「義の何たるかを知らぬ山犬を、ただ躾ていただけです」

ねねの前でも相変わらずの義理論を振りかざす兼続に、政宗は反射的に叫んでいた。

「だから、誰が山犬じゃ馬鹿めーっ!!」


そのまま兼続に掴み掛かりそうになる政宗に、ねねの眉が吊り上がる。

「喧嘩は駄目って言ってるでしょ!?悪い子だね!!」

「あ…」

不味い、と政宗が思ったその瞬間、二人の運命は決まったと言っていい。

「喧嘩両成敗だよ!!」

こうして今、二人仲良く座敷牢の中に居るという訳だ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ