気まぐれ協奏曲
□うさぎは寂しいと死にます
1ﾍﾟｰｼﾞ/1ﾍﾟｰｼﾞ
「遅い」
遅い遅い遅い。
一年生ってホームルーム長いんだっけ…。
でもこれは長すぎ。
一体何やってるの、あの子は。
友達とでも話してるのかな。
「でも友達いなさそうなんだけど」
少ない以前にいるか、いないか。
…これは過剰か。
じゃあ何してるんだろう。
宿題とか…？ 家でやれ。
居残り…？ まさか。
掃除当番…？ かかりすぎ。
日直…？ この間やった。
委員会…？ 入ってないだろう。
係の仕事…？ あの子サボりそう。
「じゃあ何してるのさ」
…もしかして、根本的に今日休み？
いやいやいや、あの子丈夫そうだよ。あらゆる意味で。馬鹿だけど。強いし、黒いし。…うん。
「ピクトグラムみたいな子だ。あの子」
クラスでもピクトさんとでも呼ばれてるんじゃなかろうか。
自由で気分屋な不思議系ピクトさん。
「だから何」
というか、本題からズレてるよ。あの子みたいに。
…というかさ。
「なんでこんなに考えているんだ。僕」
去年は一人だったのに。
読書したり、絵を描いたりしていたのに。
「依存症みたいだ」
あの子の。
ああ、退屈だ。
暇、暇、暇。
「早く来ないかな…」
…？……。……！！
なんか僕らしくないんだけど！
キャラじゃないよ！コレ！
『うさぎは寂しいと死ぬんですよ』
な ん か 思 い 出 し た。
「誰がうさぎだあああ！！」
ガラガラっ
「すみません、遅れまし…た…？」
「あああ…ぁぁ…」
「…間違えました」
ピシャンっ
「だー！待って！というかベタ過ぎるんだけど！」
「ベタは素敵です」
「早。つーか、何がだ」
「さっきの知ってますよ。ノリツッコミですね」
「言わなくて良いよ！」
「うさぎ好きなんですか？」
「いや別に」
「即答ですね。さっきのなんだったんですか？」
「いや別に」
「その前です」
「いや別に」
「…それの前の前の前の前の前の前の前です」
「怖いんだけどこの子！」
人の温もりを知る