気まぐれ協奏曲

□1枚目って結構気にする
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「何それ」
「気憶喪失ですか?部長」
「失礼極まりないね、君。何で持ってるのソレ」
「写真部からパクっ…拝借してきました」
「パクってくるな!ていうか写真部無いよこの学校!」
「…何だ 知っていたんですね」
「何その残念そうな顔ていうか騙す気満々か」
「少々嘘をつきたくて」
「その欲求は止めてくれる?」
「まあそれは置いといて」
「置くな捨てとけ」
「本当は私の家に代々伝わる蔵から出してきました」
「ダウト」
「正解です」
「毎日エイプリルフールなの?君は」
「違います。楽しんでるだけです」
「更に悪化したんだけど」
「すいません」
「何でカメラ持って来たの?」
「せっかく美術部に入ったので一応活動しようと夜中に思い、持って来ました」
「思いたったら吉日か。写真好きなの?」
「特筆する程好きではありませんが、興味が湧いたのでヤ●ダ電機に行きました」
「夜中って言うのは嘘か」
「はい」
「悪気なく言うね、君」
「蕾が綺麗ですね」
「シカトするな!」
「日常茶飯事です」
「随分な日常茶飯事だね」
「……(外をじっと見ている)」
「何撮るつもりなの?」
「決めてません」
「何も?」
「はい」
「人とか風景とか…建物でも空でも良いんじゃない?」
「部長は初めて何を撮りましたか?」
「え…多分…家族の写真じゃないかな…」
「…私、写真撮ったことないんですよ」
「一度も?」
「一度も」
「珍しいね。そうなんだ」
「はい。…人が多いですよね」
「は?」
「一枚目になるものです」
「…そうかな…そうかもね」
「部長、写真撮りましょう」
「え?今?というか活動してないよね」
「良いじゃないですか。コレ タイマーかけられるんですよ」
「へぇ…じゃないよね?!今撮るの?タイマーかけた?!あー…」
「撮りますよー」

…カシャっカシャっ

「「あ」」
シャッター二回落ちるんだ


思い出作りをしようか

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