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□高宮元の憂鬱
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唸り声が聞こえ、顔を覗き込むと、元の瞳がうっすらと開いた。
「父さん!父さん!」
「うぅ…秋、人?」
「良かっ…うわぁっ!?」
勢いよく起き上がったかと思うと、逞しい腕が伸び、秋人を捉えた。
「あ"ぎどぉぉぉ―――!!」
「と、父さんっ!?ちょ、ぅあっ…」
「「「!?」」」
元がどさくさに紛れて秋人の身体をまさぐる。
しかし、兄弟達が許すはずもなく…
スパーン!!
「あいた――っ!!」
三人揃って元の頭を叩いた。
「いててて…父親を殴るってどういうことだよっ!?」
「秋人が犯罪級に可愛いのは分かりますが、息子にセクハラするような男を父親とは言いません」
「“俺の”秋人に何すんだバカ親父!あんなことやこんなことしていいのは俺だけなのっ!!」
「殴られるだけで済んで感謝してほしいくらいだよ。今度秋兄ちゃんに手出したら、父さんのアレ切断だからっ!」
「うっ…」
清々しい朝が一転、秋人をめぐる戦場へと化した。
「…う、うるさあぁぁ――――い!!」
「「「「!?」」」」
渦中の人・秋人が叫んだ。
「みんなおかしいだろっ!!大体父さんっ!!具合はっ!?」
「へ…?元気だよ。特にココなんて、秋人のせいで超ーげん…ゴフッ」
下ネタ嫌いの千春が拳を振るった。
「いい加減にして下さい」
「信じらんねぇスケベ親父だな」
「同じ血が流れてると思いたくない」
共通の敵を前に、珍しく兄弟の心が一つになった。