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□trick or treat!
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《Happy Helloween 〜summer〜》

「って言うか、春兄がドラキュラで俺がゾンビっておかしくない!?」

 千春同様玄関前でぶつくさ文句を言っているのは、高宮家次男夏樹。
仮装にかなり不満があるようだ。

「この衣装選んだの誰だよ!?ほんっとセンスないなぁ…ん?“私に文句つける奴は秋人から嫌われさせてやる”って?…ははっそんな……文句ありませんっ!」

(くっそー!この作者、後でギャフンと言わせてやるからなっ)

 これまた千春同様“秋人”と言う言葉にかなり弱いようだ。
夏樹は仕方なく、完璧なゾンビの衣装に身を包み、玄関ベルを鳴らす。

♪ピンポ〜ン

(ここまで完璧にゾンビだと、俺の要素なくない?…まぁ、いいか)

 素朴かつ的確な疑問を胸に待ち構えていると…

「はーい、どちらさ、ま…」

 玄関を開けて現れたのは、やはり秋人だった。
秋人は、ゾンビ姿の夏樹を見て固まった。

「trick or treat!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!いや、寧ろお菓子は要らないから悪戯しちゃ…」
「ぅやあぁぁああぁっ!!!!」
「え…?」

 次に固まったのは夏樹だった。
実はかなり怖がりの秋人は、夏樹だと気付かず本気で怖がっていたのだ。

(怖がってる秋人も可愛い…。でもちょっと可哀想かな)

 そこで夏樹は、仮装を取り正体をバラすことにした。

「秋人、俺だよ俺!愛しの夏兄で、す、おぶっ!?」
「ふざけんなっ!!脅かしてからかって最低だっ!!」

 秋人は、手に持っていたキャンディーを夏樹の顔面めがけて投げつけた。

「え…と、キャンディーはいらないから、秋人の可愛いキャンディーを舐め回したいな…うわぁっ!?」
「あの世に帰れっ!!」
「そんなぁー」

 残りのキャンディーを投げつけられ、ゾンビはそそくさと帰って行きましたとさ。
 
 
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