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□spring
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「いい加減にしろぉ―――――!!!!」

 今朝もまた、秋人の絶叫が響き渡る。

「何で毎朝毎朝人のベッドに侵入してるんだよ!?」
「いいじゃんいいじゃん減るもんじゃないし」
「いいわけないだろ!!わっ!ちょ、どこ触って…や、ぁ、やめ…」

 夏樹の手が秋人の敏感な部分をまさぐり始めたが、ガツンという鈍い音と共に動きが止まった。

「…!!春兄!!」
「え、春兄…?」

 恐る恐る振り返ると、すぐ後ろに、笑顔を讃えた千春が立っていた。

「朝から騒がしいと思って来てみれば、また(俺の可愛い)秋人にちょっかい出して…。夏樹にはお仕置きが必要なようだな…」

 穏やかに話すその表情は、確かに笑顔だが、明らかに目が笑っていない。
背筋が凍るような冷たい笑顔に、夏樹の顔が引き攣る。

「や、やだなぁ。起こすついでにほんの少しスキンシップしただけだよ。はは、はははは…」

 本能的に危険を察知したのか、夏樹はそそくさと部屋を出て行った。
 
 
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