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□高宮元の憂鬱
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「…だあぁぁぁ―――っ!!」

 爽やかな日曜の朝。
悲鳴にも似た大声が大気を震わす。

「な、何っ!?」

 夢の世界に片足突っ込んだ状態の頭を無理矢理覚醒させリビングに向かうと、既に兄弟達が揃っていた。

「もぉー…。朝っぱらから…。どうせまた夏兄ちゃんが騒いでるんでしょ?」
「うっせー美冬!俺だってビックリして今起きたっつーの!!」
「俺達じゃないとすると…」

 四人はリビングを出て、廊下の奥にある寝室へと向かった。

「何か、変な音がするよ」
「泣き声か…?」
「夏兄見てきてよ」
「ちょっ、秋人押さないでっ…わぁっ!」

 勢い余ってドアが開き、中に倒れ込んでしまった。

「いててて…父さん?」

 ベッドで父・元が踞っていた。小刻みに震えているようにも見える。

「と、父さんっ!?」
「どうしたの!?具合悪いの!?」

 いつも元気な父親の弱っている姿を目の当たりにし、みな動揺した。
急いで駆け寄り、安否を確認する。

「良かった。息はしてる」
「これって昏睡状態なのか?」
「顔色が悪いよ」
「どうしよう…父さん、死んじゃうの?」
「「「!!」」」

 口にした途端、例えようのない不安と恐怖が襲う。
幼い頃母親を亡くしている高宮家にとって家族の死は大きなトラウマである。

「うぅ…」
「父さん!」
 
 
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