Lovers Collection

□二人の宿直
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あれから二課に戻ると、聞き込みをしているようで修介の姿はなかった。




早く一緒に宿直を出来ることを伝えたくて私は逸る気持ちを抑えて雑務をこなした。





「愛菜…?帰らないのか?」





『今日は瑛希クンと宿直変わったんです。』





「そうか。浅野が帰ってくるか。後は直帰するらしいからな。ゆっくりやれよー。」





『はぁい。お疲れ様です。』





最後に残っていた桐沢サンも帰っていき一人ぼっちになってしまった。





(修介まだかなぁ〜。)





ぼんやりと考えながらも仕事をしていく。




『クシュン!!あぁ…そういえば薬買うの忘れた…』




修介と一緒に宿直が出来る嬉しさで…風邪のことなんかすっかり忘れていた私。




持ってきたカーディガンを羽織って悪化しないようにした時だった。





「及川…?」





『あっ!!お疲れ様。』





聞き込みから修介が戻ってきた。




「なんで?」





『瑛希クンがね、N.Yからご両親が来るって言ったから宿直変わったの。』





その言葉に、じっと修介が私の顔を見つめてくる。





『どうしたの…?』





「及川…何で変わったの…?」





『えっ…なんでって…』





思ってもいなかった修介からの言葉に呆然としてしまう…。





"修介と一緒だから"なんて言える雰囲気ではなくて、唇を噛み締めた。





「ちょっとゆっくりしてて。出てくるから。」





その言葉を残して修介は二課を出て行った。





『えっ…』





ただ一緒に居たかっただけなのに…

ただ二人の時間を過ごしたかっただけなのに…




寂しさと、ショックで溢れてくる涙。



私は溢れる涙を拭って、呆然と座っていた。
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