Lovers Collection

□サムライだって一人の男
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〈愛菜の部屋〉



「コーヒーで良いですか?」

「あぁ、悪いな。」

「はい、どうぞ。」

コーヒーの入ったマグカップを愛菜がテーブルに置いたその時、オフショルダーのTシャツの袖がするりと落ちて、肩があらわになった。

「あっ…」

慌てて袖を引き上げる愛菜。

その顔はほのかに紅くて。

「すいません、わ、私ちょっと着替えてきますね!」


「……。」


「えっ、あの…。ご、とう…さん?」


俺は咄嗟に愛菜の腕を掴んでいた。



「愛菜…。」


「はい……、わっ!!」


掴んだ腕を勢いよく引き寄せると、愛菜はバランスを崩して俺に覆い被さるように倒れこんだ。


「す、すいません!大丈夫ですか!?」










「全然大丈夫じゃねーよ…。」

ボソッと呟く俺に慌てる愛菜。

「えっ!?どこか痛いですか!?どうしよう、ごめんなさ…」


俺は愛菜を思いきり抱き締めた。

「はぁ〜。どうしてくれんだよ…。言っとくが、そんな格好してるお前が悪いんだからな。覚悟しろよ。」

発した言葉は、情けないほど余裕がなかった。


「え、ちょ、ごと…」


愛菜の唇を塞ぐ。


「誠二。」


「せ、せい、じ……さん…。」

真っ赤な顔をして、消え入りそうな声で言う愛菜。

「フッ。さんは余計だけど、まっ、合格だな。」


愛菜を抱き上げ、そっとベッドに降ろす。


「しかしその格好、役とはいえ、気に入らないな。」


「や、やっぱり似合わないですよね…。」


「いや、意外と…。」

「意外と?」

「…何でもない。」

「(あれ?耳が赤いような…。)ふふっ。」

「何だよ。」

「いえ、何でもないです♪」

「お前…この状況でなかなかいい度胸だな。」

「えっ!いや、ごと…」


視線で圧力をかける。


「っ!……せい、じ…?」


「フッ。上出来だな。」

俺は愛菜の髪を撫でた。


「つーかその格好、俺の前で以外するなよ。」

「え、でもコレ衣装で着なきゃいけないんですけど…。」

「なら衣装を替えろ。」

「えぇ!?」

「いいな。とにかくその格好は俺の前以外禁止だ。」

「わ、分かりましたよ。」

「物分かりのいい女は嫌いじゃない。」


そう言って、愛菜の肩に俺のしるしを付けた。

「これでもうこの服は無理だな。」

「もぉ…。」





そして愛菜の耳を両手で塞いで俺は言った。


「こんな格好、他の奴に見せてたまるか…」


「え?今何て言ったんですか?」


「さぁな。」


月明かりが照らす部屋、
そう言って、
愛してるの代わりに
たくさんのキスを降らせた。


ーENDー
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