cigarette case

□FILE4
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とりあえず急ぎの決裁には目を通した
時計は21時を過ぎたところ

「よしっ帰るか!」

「お疲れ様です!」

「突然だったからボスも色々とあるだろうし僕たちはもう少し仕事してから行きます」

八千草を筆頭に及川以外が笑顔で敬礼をする

『あ…私区切りつきましたし、何かお手伝いありますか?』

「んじゃ俺に付き合え。買出し行くぞ」

急いで帰り支度を始める及川をドアの近くで待った

『お待たせしました』

「よし行くか!お前らも早く終わらせてこいよ〜」

「うぃ〜す」

5人のニヤケ顔など露知らず俺は及川と帰路についた







買出しは家の近くのデパートに決めた
地下の食品売り場に及川と並んで入る
肉や魚を適当に手に取り、次は野菜売り場へと足を運んだ


・・しかし堺警視監はどんな目的で何を思ってこのような事に手を染めたのだろうか
いくら考えてもわからない

『…さん?…桐沢さん?』

考え事をしていたもんだから及川の声にビクッとした

「なんだ?驚かすなよ」

『いや…ずっともやし持ったまま動かないから。愛してやまないのかなって』

「はぁ?」

『だってカゴ…』

カゴに向けられた及川の視線を追うとカゴの中にもやしが6つ、手に1つ…

「うぉっ!何だこりゃ」

焦って5つ棚に返す
7人だったら2袋で十分だろ

「…笑うな」

『…ぷっ』

「おい!コラ」

ずっとクスクスと笑っている及川のおでこを軽く弾いた

『例の事ですか?』

「……わかるか?」

なんだか照れくさくて頭を掻く
参ったなお見通しか
皆を労うつもりなのに俺が頭から仕事を切り離さないでどうする

「警察という立場でありながら人を破滅に導く麻薬の取引に関わるなんて想像がつかないなと思ってな」

考えていたことをそのまま素直に及川に話す

『道を見失った人の気持ちを桐沢さんがわからなくて当然です!
 徹底的に洗い出してやりましょう!』

及川
お前の笑顔には本当に救われるよ
ありがとうな

「本当にお前は男の中の男だな!」

『だから乙女ですってば!!』

「そうだっけ?」

『ひ…ひどいっっ』

すまんすまんと謝りながら、でも笑いながら及川の頭をポンポンと撫でて買い物を続けた
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