Lovers Collection

□カラフルキッチン
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久しぶりに2人揃った休日。
ウインドーショッピングしながらのんびりとした時間が流れていく。

ふと立ち寄った一件の雑貨屋。
並んださまざまなビタミンカラーのキッチン雑貨に見入ってしまう。


『こんな可愛いのだったら料理も楽しそう』

桐沢「へぇ〜、最近のは派手だな。でもこういうもんは見た目より使い易さじゃないのか?」

『気持ちの問題です』


何気なく交わした会話。
隣でピンクのフライ返しを持つ桐沢のアンバランスにプッと笑いが漏れる。





――――数日後


仕事帰りにお邪魔した桐沢の部屋。
いつものように美味しい手料理を振る舞ってもらって、せめてものお礼にと後片付けにキッチンに向かう。


『へぇ?!』


何故か数日前に見たようなカラフルなキッチン雑貨が数個並んでいて、モダンな落ち着いたキッチンには明らかに不釣り合だった。


(・・・桐沢さんが使うの?・・ププ)


あの日見たアンバランスな桐沢を思い出してクスッと笑みが零れる。
しかし、手にしてよく見れば使った形跡はなく、導かれるまさかの思いに胸がチクっと痛くなる。


(・・・他の女性が置いていったとか・・ないよね)


リビングを見れば、キッチンに立つ私を嬉しそうに見ている桐沢と目が合い、何でもないと小さく首を横に振った。


小さな疑いを消し去るように頭を小さく降って、片付けを済ませた。

イイ香りをさせ始めたコーヒーを入れるカップを取りに食器棚を覗けば、初めて見るカラフルな花柄のマグカップと目が合い手が止まった。


(・・・これって・・やっぱり・・・)


もう一度胸チクっと刺す思いが頭の中を歩き始める。


桐沢「愛菜〜」

『・・・』

桐沢「愛菜?どうかしたか?」


愛しい声も届かず固まっていると、後ろから伸びてきた手がそのマグカップを取り出した。


桐沢「き、気に入ら・・なかったか・・」

『・・・へぇ?!』

桐沢「愛菜がこの前・・その・・なんだ、可愛いってはしゃいでただろ」

『あっ!』

桐沢「あの顔がな・・可愛かったつーかなんつーか・・」

『・・もしかして、これとかも?』


並んだカラフルなキッチン雑貨を指さすと、照れくさそうに頭を掻いていた。


桐沢「料理が楽しそうっていったろ!これで楽しそうに作るとこをだな・・」


銜えタバコで、ピンクのキッチン雑貨を持つ桐沢が可笑しくて、プッと吹き出した。


桐沢「笑うな!」

『フフフ』

桐沢「何だよ」

『ありがとう』


お礼にチュッと頬に口付けを落すと、ギュッと抱きしめられた。
顎を持ち上げられ、重なる口付けは熱く深く熱を持ち始める。


桐沢「・・・愛菜」

『ん?』

桐沢「ぬぁ〜もう」


言葉にならない様な声を発すると、ヒョイっと横抱きにされた。
ニカっと笑うその顔が、スイッチが入ってしまった事を知らせてくれた。


『えぇ! ちょ、ちょっと待って』

桐沢「ハハ、待たない」



ゆっくりベッドに沈み込む体に覆い被さる桐沢の熱い視線にゆっくり瞼を閉じた。



****おしまい****

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