天王寺 豊

□外でバッタリと
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【天王寺Ver】

・・・・寒い

たくみはまだ下りてこんのやろか

総務に寄ってから帰る言うてたからまだ帰ってはないはずや



俺はたくみを待っていた

たくみが部屋を出た後急いで帰り支度を済ませて、玄関で待ってる


アイツに・・・
たくみに
伝えたい事があんねん


寒空の中、たくみの姿を探しながら俺は玄関を見つめる

(あ!)

やっと出てきたわ・・・


「お・・お疲れさん!」

『わ!天王寺さん!びっくりしたぁ』

「たまたま俺も今から帰ろうかなと思ってたんや」

・・・嘘つきな俺

だって待ってたなんて恥ずかしくて言えんやろ


2人並んで駅への帰路を歩く


たわいもない話をして、ふざけあって
いつもと変わらん会話

心ん中は緊張してるくせに・・・情けない俺

今日の捜査の影響とは断じてちゃうけど(多分)
たまらなくたくみを1人占めしたい



「・・・これから彼氏とでも会うんか?」

牽制の質問を投げ掛ける

『・・・だから喧嘩売ってます?』


改めてたくみの返答にホッとする
良かった・・・と
ホンマのホンマにたくみに彼氏がいない事が確認できて胸を撫で下ろす


『天王寺さんこそ!今からデートですか?』

「お前こそまた喧嘩売ってきたな?買うで(笑)」

たくみのおでこを軽く小突く


『いったぁい!』
と笑いながらおでこを押さえるたくみの姿が、たまらなく無茶苦茶可愛すぎる

「・・・たくみ?」

『はい?』

「お前、手ぇ真っ赤やん」

フと見たたくみの手がこの寒さで真っ赤になってるのが目に映る

『手袋忘れちゃったんで』
「アホやな・・・」

そう言うと俺は額を触ってるたくみの手を無意識に取るとそのまま引き寄せる


『て・・・天王寺さん?』

バランスを崩したたくみは俺の胸にスッポリと収まった

その体はとても小さくて儚げで・・・
いつも以上に女を実感させる


「・・・たくみ好きや」


考える事なく
ごく自然に
気持ちが言葉になってこぼれた


・・・あかん
顔見れへん


恥ずかしくて顔を見られんように俺はたくみを抱きしめる



ただ
腕の中でコクンと頷くたくみと微かに聞こえる言葉


「・・・・え?」


たくみの肩を押すようにして体から離すと互いの視線が絡み合う

「・・・今のホンマか?」

『はい・・・私も好きです』


嘘やろ?
夢やないよな?

誰かほっぺたつねってくれ!


叫びたい程の喜びと震える程の照れ臭さが全身を伝う

『あ・・・雪』

「ホンマや!・・・たくみの鼻にもついてんで?ほら・・ここ・・・」


そして
雪花が舞い踊る中、導かれるように俺達はそっと優しいキスをした


END

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