桐沢 洋
□遠い夏の日の中
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「ったく・・どこに置いたっけな」
夕日の差し込む部屋の中、捜査関係で過去の冊子を見たくて机の中を探しあさる
しかし、欲する物は見つからず相変わらず俺の机からは無用な物が次から次へと現れる
「あ」
その時、何かに挟まってたそれがヒラリと床に落ちる
『今日の日を忘れないようにね』ってせかされ撮った麻奈との写真だった
* * * * * *
久しぶりの2人一緒の公休日
俺と麻奈は終わりを告げはじめた夏を感じようとバイクで海へ出かけた
泳ぐ事はできなかったけれど借りたクルーザーで大海原を駆けたり、波打際を歩いたりと1日を楽しんだ
『来年は泳ぎたいな』
「そうだな・・次は泳ぐか?」
『やった!約束だよ』
「ああ」
無邪気に喜ぶ麻奈があまりにも可愛らしくて思わず軽くキスをする
『////っっ!』
既にキス以上の仲なのに純粋に照れる麻奈が愛おしい
『えっ・・・と・・あ!写真撮りましょ?ねっ?』
照れ隠しで持っていたバッグからカメラを出す麻奈
そういや、2人で一緒になんて撮った事がない
けど、普段写真なんて撮らないから何だか恥ずかしい
『ね?撮ろう?』
迷ってる俺に
『来年も海にくる約束の証明!』
と俺に頬をくっつけて麻奈が不意打ちで写真を撮った
出来上がった写真は不意打ちだったから少し驚き顔の俺と少し頬の赤い麻奈のアップに近いものだった
それから幾度か夏が過ぎた