桐沢 洋

□夏の夜は恋を惑わす
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今日、私達2課は管轄内の夏祭りに皆で来ている

私は非番だったからちょっと女らしさをアピールしておこうと浴衣を着てきた
いつも大食漢やら色気がないやらと女扱いされてないから皆を見返してやろうと思ったのもあるけど
本当は浴衣姿を桐沢さんに見せたかった

きっと本人は忘れてるだろうけど少し前に浴衣が似合いそうだなと言ってたから


この夏祭りは規模は小さいけれど打ち上げ花火も上がるので、露店から離れた所はまるで花見のように場所を競うように取り合っていた

私達2課と何かを嗅ぎ付けて皆が退庁する時にやってきた野村さんも花火を観るのに最適な場所を陣取っていた

もちろんビールやおつまみが広げられた状態で


♪〜

突然携帯が鳴り、画面を開くと愛しい彼からのメール

To 麻奈
Sub 無題

浴衣似合ってるな

なぁ・・・
少しお前を独り占めしたい

祭会場の神社にあった大きな木の下で落ち合わないか?
ダメか?
      洋


メールの文面に思わず顔がにやけてしまう
チラと桐沢さんを盗み見ると花井さんと喋ってはいるが耳が真っ赤になっていてたまらなく愛しい


「な〜にニヤけてるのかな?麻奈ちゃん」

いつの間にか横にいた野村さんに携帯を見られそうになり、思わず閉じる

私と桐沢さんの関係を唯一知ってはいるが、流石に見られたくはない

『い・・いや何でもないです!あの、私お手洗いに行ってきます』

急いで携帯を巾着にしまうと下駄を履く

「麻奈ちゃん人が多いしついて行こうか?」

『ありがとう瑛希くん。大丈夫だから』

立ち上がる瑛希くんを制して私は待ち合わせの場所へと向かった
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