Sexual case

□FILE10
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深くとろけるようなキス
でもどこか寂しげで
どこか苦しくて
そして怒りを含んだキス

それに私は抵抗できなかった
何故か受け入れる自分がいた


「なんで・・・」

『え?』

か細い声に我に返る

「なんでまだここにいるんだ?桐沢から聞かなかったのか?」

重ねられた唇が解かれ、寂しげな瞳に見つめられる
そんな瞳に胸が締め付けられる

『野村さんこそ…どうして…ここに…』

「そんな事はいい!何でまだここにいるんだ?場合によれば警察としての人生を奪われかねない状況になるかもしれないんだぞ!」

掴まれた肩に痛みを感じる

それはまるで野村さんの気持ちが伝わっているように思えた


でも私だって・・
役に立ちたい・・
守りたい・・

肩を掴む腕をまるで払うようにして私も野村さんの腕を掴む

『野村さんだって一緒じゃないですか!』

思わず叫んでしまうと一緒に涙が零れた

泣くつもりなんてなかった
けれど涙が零れ落ちる
面倒臭いと思われたくない
でもまた一粒、涙が零れた
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