Sexual case

□FILE9
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「野村?」

聞き慣れた声・・
野村さんの大きな体で姿は見えないけれど、この声は桐沢さんだ

その声に反応し、再度私を掴む手に力がこもるとすぐにその力は解かれ、同時に野村さんの体が私から離れる

「おい!待てよ野村!」

無言のまま野村さんはエレベーターを下り、私と桐沢さんから去って行く
そしてその姿を桐沢さんが追っていく


私はただ・・・
紅潮した顔で熱を帯びた唇を指で触れたまま、その場に座り込んでしまった
掴まれた肩に指の後がつけられたままで










私は今、桐沢さんの車で送ってもらっている

桐沢さんは潜入している私を気にかけてくれて足を運んでくれた
本当なら2課の皆でと思ったが、2課独自の捜査で経費では落とせないし、高級店ということで各自実費ではキツイので代表として見に来てくれたらしい

「しかし、既に野村まで潜入してたとはな…」

桐沢さんがフッとため息をつく

「まぁ俺と野村で互いに独自に色々調べていたから、いずれは野村もここに目をつけるとは思っていたが…早いな」

『野村さんは何故?そこまでしてこの事件を追っているんですか?』

私の質問にやりきれない瞳をした後桐沢さんは優しい顔で微笑みかける

「…及川。お前には話してもいいだろ」

そういって桐沢さんは車を近くの公園に停め話し始めてくれた
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