Sexual case
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『だから・・かな』
「ん?」
『先日資料室で刑事課の棚付近でうたた寝してる野村さんに会ったんです。今思えば刑事課の棚には事件の資料があるし、調べてたんだなって』
「ああ・・きっとそうだろうな。最近はアイツらしくなく家に帰ってないからな」
空を見上げて桐沢さんは大きく煙を吐いて、その煙をジッと眺めていた
「・・ま、そういう事だ。でも何も聞かなかった、知らなかった事にしてくれ」
桐沢さんが私の肩をポンと叩くと手を置いた
その手のひらから桐沢さんの野村さんに対する思いが伝わってくるような気がした
その手のぬくもりを肩で感じ私は私なりに決断した
『私に手伝える事はないですか?』
私の突然の申し出に桐沢さんは目を大きくし、そして少し困った表情を見せた
「・・・及川。言っただろ?何も聞かなかった事にしてくれって」
『どんな些細な事でもいいんです!』
聞いてしまった以上ってのもあるけれど、私自身微力だけど力になりたい
心からそう思った
「ありがとうな。でもお前を巻き込むつもりはない・・わかってくれ・・」
桐沢さんの真剣な瞳に見つめられ一瞬決心がぐらつきそうになる
・・力になれないのかな
知らないふりなんてできない
少しでも野村さんを助けたい
だから私は私の気持ちをもう一度桐沢さんにぶつけようとした