Sexual case

□FILE2
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――夜

野村さんに連れてきてもらった所は都内とは思えないほど厳かで幽玄で・・
まるで京都と間違えそうなたたずまいの料亭だった

ちなみに桐沢さんは夕方前に急な庁外会議が入って遅れると言っていた

『さ。麻奈ちゃんどうぞ』

仲居さんはもちろん、野村さんにエスコートされてドキッとする
2課じゃエスコートどころか女性扱いすらされてないんだもん

『わあっ!』

部屋は個室で中庭もあり、まるで高級旅館のようだった
運ばれてくる料理も料理って単語より作品って感じの素敵な物ばかり

(幸せ〜♪)

口に運ぶ度幸せを噛み締める

「ハハッ!麻奈ちゃんは本当に美味しそうに食べるね?桐沢の言ってた通りだ」

『だって本当に美味しいんですもん!あ・・野村さんお酌しますね』

「嬉しいな、ありがとう」

食べるのに夢中で野村さんのおちょこが空になってるのに気づいた
今、仲居さんもいないし食事のお礼がてらお酌しようと手を伸ばした

『キャッ!』

手を伸ばしたと同時に空の小皿を落としてしまった
幸い畳は汚さなかったけど履いてパンツスーツを少し汚してしまった

「大丈夫?」

『はい・・すみません。ちょっとお手洗いででも落としてきますね』

そう言って私は席を離れた



(はぁ〜情けない・・本当におっちょこちょい・・でも高そうなお皿割らなくてよかった)

濡らしたハンカチで目立たない程度に汚れを落とすと野村さんを待たせたままの部屋に急いで戻る

カラン

ん?
何の音?
何か聞こえたけど気にする事なく部屋に戻る

部屋に入る前に手櫛でササッと髪を整える

(ん?・・・ないっ!)

つけてたピアスが片方ない
就職祝いにと祖母からもらったお守り代わりの大事なピアス

(あ!さっきの!)

さっきの音はピアスを落とした音に違いない
私は帰ってきた廊下をまた戻った
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