cigarette case
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正面口に着くと俺達は花井と天王寺の到着を待った
20分ほどして2人が乗った車が到着した
「ボス、早いですね」
「及川が俺らより早いなんてどないしたんや?」
気づかれないよう俺と及川は平静を装った
「ち・・近くに・・たまたま近くに俺はいたんだよ。俺は・・。
しかし本当にこんな遊園地でなのか?」
「はい。初めはおちょくられてると思って何度も確認を取ったんですが、確かなようです」
「そうか・・」
人の集まる所はカモフラージュにはなるが、麻薬と似ても似つかない遊園地なんて逆に目立つのではないかと思う
それを逆手にとったのか?
考えながら正面口から事務所へ移動する
事務員達に事情を簡単に説明し、ここを本部とした
しかしここからでは園内全体を見回すなんて不可能だ
どうしたもんかと考えていると目の前の壁にかかってあるウサギの着ぐるみが目に入った
聞くと園内で子供達に風船などを配る時に使うらしい
これなら怪しまれずに来園者に近づける
さて・・これを誰が着るかだが・・
「くっそ〜何で俺やねん」
1番平和的かつ平等なじゃんけんでウサギとなるのは天王寺となった
・・・・・ぷっ
腹痛てぇ
納得がいかず憮然としているこわおもての天王寺だが、体は既にピンク色のウサギ・・
横では花井も及川も腹を抱えて笑いを堪えている
「特に及川、後で覚えてろや」
そして憮然とした顔をウサギの顔で隠し、天王寺は園内を見回り始めた
しばらくしてインカムに天王寺の緊張したような声が入った
「3時の方向に堺警視監らしき人物を発見」
その言葉に一気に空気が変わった
しかし、こちらからでは肉眼ではまったくわからない
「間違いないか?」
「多分本人やと思います。…確認のため近づいてみます。…あ!男と合流しました」
ピンクのウサギの天王寺が2人に近づく足音と息遣いがインカムから聞こえる
「…堺警視監で間違いありません」
「会話は聞き取れるか?」
「いえ…無言です。…今観覧車に乗るようです」
堺警視監と男は言葉を交わすことなく観覧車に消えてしまったのだった