cigarette case

□FILE5
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2人きりだと意識したらなんかぎこちなさを感じた

「テ・・テレビでも見てるか?」

リモコンをテレビ画面に向ける

パチッ

『え?何?』

一瞬にして部屋が暗闇に包まれた

『え?どうしたんですか?・・痛っっ』

暗闇の中で及川の立つ気配がしたと同時にゴンッと鈍い音
テーブルにぶつけたらしい

「・・まったく。とりあえず落ちつけって」

そう言うと自然に手が及川に伸びる
暗くても狭い部屋だ、どこにいるかわかる
伸ばした先に及川を感じるとためらいもなくごく自然に抱きしめた

「大丈夫だから・・落ち着け・・な?」

及川の耳元で囁くとポンポンと背中をあやすように叩く
全身で及川の温もりを感じた
そして腕の中で及川の不安にが薄らいでいくのがわかった

・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。

「どうどう」

『・・・馬じゃありません』

「ハハ。落ち着いたな。多分ブレーカーが落ちたんだよ。一気に色々使うとよく落ちるんだ」

ブレーカーを見に立ち上がる

良かった暗闇で・・
とっさとはいえ、思わず抱きしめてしまった
冷静になると恥ずかしくて茶化してみたが・・・俺絶対に今顔が赤いぞ

ゴンッ!
「イテッ!!」

『桐沢さん・・落ち着いて下さい』

「やかましい」

ハハハッ!動揺丸出しだな


再びパチッと音がし部屋が明るくなる

『ビックリしたぁ〜』

「まったくだ」

顔を見合わせて笑った
と、同時にチャイムが鳴る

「おっ!やっと来たな」

まだ残る動揺を隠すように玄関口へと急いだ
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