cigarette case
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あれから3ヶ月・・
麻薬密売のタレコミがあり2課は慌ただしかった。まぁ本当は2課の所管ではないが色々とあり、組織の摘発を任された。
「これが資料だ」
センターテーブルに集まるメンバー全員に事件の内容が詳細に記された資料を渡す。
メンバー全員の顔がひきしまり、花井&浅野は資料をあたり、天王寺&八千草は地取り、京橋は情報整理と業務にあたる。
こいつらは細かな指示をしなくとも自分自身で体制を整える頼もしい奴らだ。
「よし。じゃあ及川、お前は俺とこい!目星のついている組織の本拠地とされている場所へ向かう!」
『はいっ!』
元気な声で返事をし、ジャケットと資料を脇に抱え及川が俺の後をついてくる。
及川が配属されて3ヶ月。メンバー全員とも打ち解け冗談を言ったり、メンバーを軽くあしらったりコイツも完璧な2課の一員だ。
「どうだ仕事には馴れてきたか?大変じゃないか?」
目星のついた本拠地とされている場所へ向かう車中で軽くハンドルをながしながら俺は及川に話しかけた。
『大変ですけど少しずつ馴れてきました』
「そうか。野村や京橋に口説かれたりしてないだろうな?」
『まさか?!』
及川はすっとんきょうな声を出して驚き、でも笑いながら答えた。
『そんなにモテませんから私』
ケラケラと屈託のない顔で笑う。
「お前は隙がありすぎる。男につけこまれないように気をつけろよ」
『つけこまれたりしません!』
勇ましく拳を上げてガッツポーズをする。
そんな姿に俺も自然に笑みがこぼれる。
「ハハハ!たしかにな。その様子だと口説かれてもビクともしなさそうだな」
3ヶ月コイツを見てて気づいたのはしっかりしているようで、でもヌケている。きっと口説かれても気づかないんだろうな
『なんか馬鹿にされてる気がするんですけど・・』
「気のせいだろ?誉めてるんだ」
隣で少し頬を膨らましている及川を見て笑いながら俺はとぼけた
「・・とはいえ、リスクマネジメントは重要だ」
打って変わった俺の真剣な声に膨れっ面の及川の顔も真剣になる。
「野村が『アメあげるから』ってもついってちゃダメだぞ」
『へ・・・?』
本当にコイツはからかいがいがある
『もうっ!』と口を尖らす仕草がなんとも言えず楽しい。ひとしきり笑って及川の頭にポンっと手をおいた
「まぁ今のは冗談としても・・何かあったらすぐ俺に言えよ?な?」
上司として最後の一言が言いたかったんだけどな。上司としてな・・
及川の返事を聞いて俺はまたアクセルをグッと踏んだ