恋に落ちた海賊王のお話し【短編】

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私は酒と間違われ、この海賊船に乗ってから1か月。


だいぶここでの生活には慣れてきた。


まだあんまり話せていない人も数名いるけど、ここにいる人達はみんな良い人達だと分かって安心した。


私は貰った仕事にも慣れてきて、初日に比べればだいぶマシになってきたと思う。


今、任されているのは掃除、洗濯、裁縫、ナギさんやソウシさんのお手伝い。


トワくんと分担してやったりもするから、思ったほど大変な事はなかった。


みんなに喜んでもらえるように心を込めて仕事をするのが私の日課。


私は天気の良い日に、なんだかウキウキして甲板掃除をしていた。


カチャリ


「ひえっ!?」


耳元で物騒な音がして振り向いた。


シンさんが私のこめかみに銃を向けてる!?



「し、シンさん、ど、どうしたんですか」



いつも冷たく見えるシンさんの顔は、さらに無表情で私の心臓は恐怖で縮みあがった。



「俺はやさしいからな。特別に選ばせてやる。」


「え、選ぶって何を…」


「今ここで俺に撃たれるかサメの餌、どっちがいいんだ?」


「ど、どっちもイヤなんですけど…」


この人は私がこの船に最初に乗った時からこうだった。


ものすごく綺麗な顔をしているのに、その顔ににあわず、すごく冷たい。


っていうか冷酷非道?


ようやく最近は銃を突き付けられなくなったから安心してたんだけど、今日はいったいどうしたっていうんだろう…


「3秒以内に選ばなければ、俺が決める。さん、に…」

「わーわーっシ、シンさんちょっと落ち着きましょう!もっと穏やかに話ししましょうよ!何か他に良い解決策があるはずですっ」


バシッ


「ぎゃっ」


なんか顔にぶつけられたんですけど!


「ちょっと、何するんですかシンさん!」


シンさんは表情を変えずに眉だけピクリとあげる。


目線は私の足下…?


シンさんの目線を辿ると何かの布のようなものがあった。
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