短編
□夜道に居るのは幽霊だけじゃない!
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「花鈴か。アンタ、こんなところで何してんでィ」
誰かの声がして、顔を上げる。
「沖田くん・・・?」
そこにいたのは沖田くんだった。
「何、夜中に叫んでんだ。土方呪いの邪魔でさァ」
「だって・・・幽霊が・・・・・・ん?今、土方呪いとか言った?」
ってことは、さっきの声は・・・!
私は地面に座りこんだ。
「何?アンタ、幽霊信じてんの?痛い痛い痛いよ〜」
・・・こいつ・・・
「沖田くんのバカっ!ホントに怖かったの!」
だって誰もあんなところに人がいるとか思わないし、呪ってるなんて、さらに思わないし。
「・・・アンタ、何でこんな遅くに歩いてるんですかィ?」
「それは・・・これ」
私は手に持っていた物を取り出した。
うさぎのキーホルダー。
「それが、どうしたんですかィ?」
うさぎのキーホルダーを見て、声色ひとつ変えずに訊いてくる。
「近所の女の子が泣いて探してたの。ずっと前から大事にしてたからかわいそうで・・・」
「とんだお人好しだ」
沖田くんが一言吐き捨てるように言った。
「なっ・・・・・・!」
大声で怒りたい気持ちを必死に抑える。
「でも、アンタのそういうとこ、俺は好きですぜィ」
「・・・え?///」
・・・それ、どういうこと?
「家、どこら辺?しょうがねェから、送っていってやりまさァ」
沖田くんが私の手を掴む。