短編
□嫌いとか言われるとけっこう傷つきません?
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私は地面にばかり視線を向けて歩いていた。
・・・振られちゃった。
大好きな人に。
今までずっと付き合ってこれたのに、どうしていきなり嫌いになっちゃったの?
この前まではいつも通り仲良かったのに・・・
家に着くと、プレゼントとケーキが置いてあった。
・・・そっか。
今日、私の誕生日だったっけ。
お父さんは出張、お母さんは夜も仕事。
誰も居ないのか。
プレゼントを開けると、中から雑誌に載ってたバックと、白くて綺麗なポーチ、そして・・・
写真立てと手紙が入っていた。
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花鈴へ
誕生日おめでとう。
祝ってあげられなくてごめんね。
バックはお父さんから
ポーチと写真立てはお母さんからです。
お父さんったら、花鈴が欲しいものがないか、焦って私に聞いてきたの。
雑誌見て、可愛いって言ってたでしょう?
普段じゃ高くて買えないから、お父さんにねだらなきゃね。
お母さんはそんなに高いもの買えなかったけど、可愛いポーチがあったので、買っておきました。
それと、写真立て。
花鈴の部屋にいっぱい写真が貼ってあるの見つけちゃって。
お気に入りの写真、飾ってね。
P.S
妙ちゃんや神楽ちゃんたちと仲良く写ってる写真見て、お母さん凄く嬉しかったよ。
よく一緒に写ってたのは彼氏くん?
カッコいい子だったね。
これからも仲良くするのよ。
ママより
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手紙を閉じると、急に涙が溢れてきた。
写真立てが手から滑り落ちて、ガシャンと音をたてる。
――お母さん、ごめん。
一番気に入ってた写真で隣に写ってる人は、もう私の隣には居てくれない。
ごめん。
今は何も飾れないよ。
私はバックを抱き締めたまま、床に座り込んだ。
涙が少しずつ、床を濡らしていった。