* 彼女がいた季節 *

□side 彼
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( なんでここに?面識すらないのに… )


甚だ疑問だ。でも一つ、彼女が笑っている理由については思い当たった―

「 ヤベッ 」
( さっきからずっとラン二ングにトランクス姿じゃねーかっ )
俺は咄嗟にすりガラスの窓の陰に隠れた。

( かっこわりぃ… )


反応が気になって、そっと顔だけ出してみた。でも―


「 いない… 」
彼女の姿は何処にもなかった。

( 帰った?っていうかそもそも本当に俺に会いにきたのか? )
とか思いつつ、少なからずショックを受けている自分に俺は気付いていた…がその時、予期せぬ事が起こった―



微かだったが、部屋のドアをノックするような音が聞こえた気がした。

( …まさか…彼女? )


「 んなわけないよな 」
と自嘲気味に笑いつつ、体を緊張させたままドアに向けた耳に意識を集中した。

『 コン、コン 』

( やっぱりっ。小さいけど今度は確実に聞こえたっ )部屋の隅に脱ぎ捨ててあった服を慌てて着る。


( 汗臭いか? )
大いに気になったが、タイミングを逃してさっきのような想いをする事の方がずっと嫌だった―
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