* ふぞろい四重奏 *
□第四章“じい”VS“じい”
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「…王様‥‥
カイトは、無事でいるでしょ
うか?…」
「イグルが一緒なのだ…
心配はあるまい‥‥‥」
『食欲がない』と昼食の席に姿を見せなかった王妃であり妻であるマン・ダリンを、カイトの父であるダック王は寝室に見舞っていた―
「今頃、カイトは何処にいるの
でしょう…
アーキオ・プ・タ・リスクーの
言う通り、
港町の『ス・パ・ゲティー』と
やらに居るのでしょうか?」
「ウム‥‥‥
恐らく、そうなのであろうな
・・・」
沈黙の後―
マン・ダリンが窓の外を見やるのを追うようにダックもまたその顔を向けると、それぞれが心の中で遠い空の下にいるであろう息子の無事を祈った…
にしても・・・
<何故?>
詳細を知らせずに家を出たはずのカイトの行き先を、どのようにして二人は知り得たのだろうか?
『話』は昨日の朝にまでさかのぼる―…
なんとも“おかしな朝”だった。
いつもなら二人よりも早くイグルを伴ったカイトが朝食の席に着いているはずが、この朝に限っては二人が席に着いた後になっても共に姿を現さなかったのだ…
「誰ぞ、カイト様をお呼びして
まいれ」
アーキオ・プ・タ・リスクーが言い、ドア側に立つ家臣の一人が部屋を出て行った。
( ‥‥‥一体どうしたというの
だ?・・・)
アーキオ・プ・タ・リスクーは
その朝『自らの身辺にも起こった異変』について考えていた―
『朝』
イグルは常に夜明けとともに起き、剣術の修練を積んでからアーキオ・プ・タ・リスクーと母である『ク・レイン』と共に、三人で朝食をとることが日課となっていた。
ところが、なぜか今朝はその席に姿を見せなかった…
「あやつは剣の虫じゃからな」
「そうですね」
そう言って、アーキオ・プ・タ・リスクーとク・レインの二人は遅く戻って来たイグルに気を遣わせないよう敢えて待たずに食事を済ませ、
今に至っていたのだった―