* すき☆すき 大すきっ! *

□すき☆すき 大すき
1ページ/1ページ



「パパ…ママ…

 ‥‥“よう”くん‥‥‥」







雨にぬかるんだ真っ暗な山の中の道なき道を“少女”は一人不安な心と戦いながらさまよっていた。



なぜ“彼女”がこんな目に遭ってしまっているのか?というと、それは…


話は数日前にさかのぼる――‥











―「「ゆぅーふぉーっ!!?」」



大好きな給食のカレーの一口目を飲み込もうとしていた“彼女” 小学五年生の“立木 蜜柑”と、同じ班で仲良しの 美月 カナ が驚きの声を同時に上げた。


「そう!
 ホラ、あたしの部屋の窓から
 見える小さな山あるでしょ?
 あの山、人が住んでないはず
 なのに何日か前から夜になる
 と1ヶ所小さく光るようにな
 ってさあ。
 お母さんたちは“ちがう”っ
 て言うけど、
 あたしはぜっっったい!
 
 ―“UFO”だと思うっ!!―」


同じく仲良しの 河津 アキ が言い切り、蜜柑とカナは顔を見合わせた。


「だからさあ
 探しに行ってみない? UFO
 今度の日曜日に、3人で!」


「…え……」

「いくいくっっ!!
 いこいこっっ!!」


カナと蜜柑
実に対照的な反応である。


「カナは? どうする? いける
 ?」

「…えっ…あ‥‥‥ウン‥‥‥‥
 でも…夜でしょ?

 気にはなるけど… やっぱり、
 ちょっと怖いかなって…
 それに「だあ〜〜いじょうぶ
 だって! 行くのは夜じゃな
 くて昼間だもん!
 あたしだって夜は怖いし。
 UFOだって夜は電気つけるか
 らわかるだけで本当は昼間か
 らいるのかもしれないじゃん?
 だからだいじょーぶ!ねっ!」


「‥‥ウン‥‥‥‥」



アキの迫力に押されて、カナが心にもない返事をしてしまった時―








蜜柑の心はすでに日曜日へと飛んでしまっていたのであった。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ