* ありのままの自分で… *
□ありのままの自分で…
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ある日ふいにかかってきた―
“思いがけない”一本の電話
『同窓会やらない?』
十五年以上ぶりに聞く、中学時代のクラスメート“川上 真純”の声だった。
仕事帰りの電車の中で、偶然クラスの副委員長だった“清水 れい”と会って盛り上がり、男子への連絡は委員長だった俺に頼もうという話になったらしく、
あの頃いち早く志望の私立高校入学が決まって“いつもツルんでいたメンバーの一人”である川上が、懐かしさと共に連絡を寄越したのであった。
提案された日時が
『子供の夏休み中で予定が立た
ないから』
と取り敢えず俺は返事を保留し、男子への連絡は一応引き受けることにした―
が、
正直
俺は、気が重かった‥‥
大学時代の友人だった“嫁さん”と卒業後わりとすぐに結婚して、今でもそれなりに仲良くやっている。
一人息子も小学生になり、去年には嫁さんの念願だった“マイホーム”を新築したばかりだ…
傍から見れば“幸せそのもの”だろう
が、
― 正直“家計は火の車”
プレッシャーも決して小さくはない
そこへもってきて、仕事で続けて“大きなミス”
ここ最近の我が社の経営不振にあって“リストラ候補の筆頭”に躍り出たのは間違いない
はっきり言って
人のプライベートを知りたがるふりをするのもおっくうだし、
自分の十五年にもわたるプライベートを根掘り葉掘りほじくりかえされるのも、考えるだけでウンザリだった。
『たぶん相当疲れてるんだろう
な〜、俺…』
そう頭の隅で、客観的に考えている自分がいた―