* ありのままの自分で… *

□ありのままの自分で…
1ページ/1ページ



ある日ふいにかかってきた―


“思いがけない”一本の電話










『同窓会やらない?』



十五年以上ぶりに聞く、中学時代のクラスメート“川上 真純”の声だった。


仕事帰りの電車の中で、偶然クラスの副委員長だった“清水 れい”と会って盛り上がり、男子への連絡は委員長だった俺に頼もうという話になったらしく、

あの頃いち早く志望の私立高校入学が決まって“いつもツルんでいたメンバーの一人”である川上が、懐かしさと共に連絡を寄越したのであった。








提案された日時が

『子供の夏休み中で予定が立た
 ないから』

と取り敢えず俺は返事を保留し、男子への連絡は一応引き受けることにした―


が、




正直


俺は、気が重かった‥‥








大学時代の友人だった“嫁さん”と卒業後わりとすぐに結婚して、今でもそれなりに仲良くやっている。

一人息子も小学生になり、去年には嫁さんの念願だった“マイホーム”を新築したばかりだ…



傍から見れば“幸せそのもの”だろう





が、

― 正直“家計は火の車”


プレッシャーも決して小さくはない


そこへもってきて、仕事で続けて“大きなミス”


ここ最近の我が社の経営不振にあって“リストラ候補の筆頭”に躍り出たのは間違いない




はっきり言って


人のプライベートを知りたがるふりをするのもおっくうだし、


自分の十五年にもわたるプライベートを根掘り葉掘りほじくりかえされるのも、考えるだけでウンザリだった。


『たぶん相当疲れてるんだろう
 な〜、俺…』


そう頭の隅で、客観的に考えている自分がいた―
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ