* triangle *
□第一章 思わぬ再会
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「お兄ちゃん! こっちこっち」
「おうっ」
空港の人波に、大学に入ってスッカリ化粧も板に付いたらしい妹が手を振っているのが見えた―
「おかえり、お兄ちゃん」
「おぉ。わざわざ迎えに来ても
らってサンキューな」
俺の名前は山河大地。
プロ野球選手として2年目のシーズンを終え帰省したばかりだ。チームはBクラス、ピッチャーとしての個人成績も勝ち越してるとはいえ7勝6敗と到底納得のいくものではなかった…
ブー、ブー、ブー、
「お兄ちゃん。
…お兄ちゃん!メールきてる
みたいだよ?」
「…え? あっ、お、おぅ」
妹の運転する車に揺られ軽く睡魔を覚える中届いたメールの主、それは…
(“光”からだ… )
『大地君久し振り。もうこっち
帰って来てるの?明後日の夜
時間がとれそうなんだけど、
もし大地君の都合さえよけれ
ば一緒に食事でもどうかな?』
星川 光―
俺たちは小学時代の幼なじみだ。所属したリトルリーグでは同じピッチャーとしてよきライバルだった。小学を卒業すると光は全寮制の名門スポーツ校に入学し、俺は中・高と地元の普通高に通った。光は日本一の人気球団にドラフト一位で入団し新人王獲得、今シーズンは最多勝でリーグ優勝に貢献と、華々しい活躍をみせている。その点俺は万年Bクラスの球団になんとかドラフトで引っ掛かったもののニ軍スタート、その後一軍に上がったとはいえ今期も満足のいく成績ではなかった。
( 随分差がついちまったな… )
『了解』
そう返信したものの、なぜだか俺は…
気が重かった―