* ふぞろい四重奏 *
□第五章 吸血花!
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『ぎゅるるるるる〜』
―!!
皆の視線が一点に集まる…
「しょっ、しょうがないでしょ
!////歩きっぱなしで、お腹
減ってるんだからぁっ」
遅い朝食を取り昼過ぎに宿を出て、しばらくは馬で移動していたベルガ一行だったが―
『ずっと同じ格好してたら体痛
くなっちゃった。歩きたい!』
というベルガの一言で、一度寂れた店で軽い昼食を取って以降数時間歩きっぱなしだったのである…
( あ〜〜〜〜遠いとは聞いてた
けど、後どれくらい掛かるの
かしらぁ?…
休みたいけど、一度休んだら
もう二度と立ち上がりたくな
くなりそうだし・・・
かと言って、馬には乗りたく
ないし…もおぉーーーー!!
なんで宿の一つも無いのよっ )
・・・
実はベルガ、ある事に気付いて馬を降りたのだが…
「おいベルガ… いー加減馬に
乗ろうぜぇ?日が暮れちまう
だろぉ‥‥‥」
疲労感滲む声でキースが言う。
付き合って歩くカイトとイグルもどこか期待感漂う視線を向ける―
が、
「…イヤよ。腰が痛くなるんだ
もの」
「な事言って、 ホントは“痔”
なんだろ?」
「ちがうわよっっ////!!!」
ベルガのイライラは頂点に達した
( も〜〜〜〜おっ!馬に乗りた
いのはこっちの方なのにーー
ーーいっっ!!なんで宿が無
いのよ、宿がぁっ!
・・・
お風呂に入らせてよっっ!!)
そう―
ベルガが“気付いてしまったある事”とは、自分が『丸二日以上お風呂に入っていない』という事だったのだ。
キースが自分の頭の後ろで二回ほど鼻を吸った( 只むずがゆかっただけ )のをきっかけに
(( なに?!ひょっとしてアタシ
、クサイのっ?!! ))
と気になって仕方なくなり、馬を降りて不自然じゃない程度に皆と離れて歩くしかなくなってしまっていたのである…
( もぉ…狭かろうが… ヌメヌ
メしてそうで気持ち悪かろう
が…どんなお風呂だって入る
わ!だからお願い、宿!現れ
てえぇ〜〜〜〜〜!!)
重い足を引きずるように歩きながら心の中で必死に叫ぶ。が悲しいかな一向に宿は現れず
「イグル… あとどれくらい?」
と聞くカイトの声も弱々しい。
「この森を出た先の洞窟を抜け
ればそう遠くないと、昼食を
取った店の主人が申しており
ましたが…」
「あぁ…そうだっけ‥‥‥
くたびれすぎて、わすれちゃ
ってた・・・」
( うぅ… )
カイトの言葉が胸に痛いベルガ。
「〜ちょっとカイト!〜アンタ
だけでも、馬乗んなさいよ!
アタシの事は、気にしないで
いいから… さっきもそう言
ったでしょぉ?」
「あ、うん… でもぉ」
―とその時、
「オイ!洞窟だ!!」
一人会話に入っていなかったキースが声を上げた。
「洞窟っ?!やったあ!!」
洞窟を抜けた先に待つであろう “入浴”と“休息”という『ニンジン』が目の前にぶら下がった途端一気に元気を取り戻す四人。
嬉々として洞窟の前までやって来た―
―が、
「ギャアアアアアアーーーッ!」
突如としてけたたましい叫び声が洞窟内にこだました。
「なっ?!なんだぁ?」
とキース。
「…またぁ?」
とはベルガ。
一体何が起こったのであろうか…