名を刻む者

□第6話
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数は3。更に後方に居る可能性も充分考えられるが、今は前方の機体に集中すべきだろう。

ミサイルに武装を変更し素早くサイトに捉える。
後方に移動するのを止め前進する。ロックが完了し、EXを展開したところでミサイルを発射した。

MT10-BATの性能では回避できないことは確実であるのでミサイルの行方は見届けず、後方の敵に向かおうとしたところでレーダーが前方にまたも敵影を表示した。

目標を変更し、そのまま直進する。接近して気付いたが、敵は十字路の右から来るようだった。
生憎巨大なビルが邪魔で姿は確認できない。

「市街戦はこれだからな……。」

つい本音が漏れた。
と、レーダーに一瞬ノイズが入る。

「!!」

俺は直感的に機体を上昇させビルに乗ろうとした。
上昇の最中に下から攻撃された。

アイカメラをそちらに向けると思った通りMT09E-OWLの姿が確認できた。
ビルの上に降り立ったところで見下ろす。そこを狙ったようにライフルの弾が飛んできた。直ぐに後退して攻撃を避けた。
数は4機。だがレーダーの使えないこの状況では断言は出来ない。と言っても時間があるわけでも無い。

一瞬考え腹をくくった。
とそこへ赤紫色の光が飛来してくる。何処からか狙撃されたようだが、今はMT09E-OWLを片付けるべきと判断し、機体をジャンプさせた。

下に居るであろう敵機に照準を合わせようとした。サイトにまでノイズが入る。
下からいくつもの弾丸が向かってきた。回避しようとしたが何発か被弾する。しかし構わずマーカーが出た瞬間トリガーを引き絞る。
もう一度。

2本の光糸は見事標的を貫いた。しかし片方は相手を仕留めるには至らなかったようだ。
地上10mぐらいまで近付いたところでブースターを吹かす。そこへライフル弾が襲い掛かってきた。
回避しながらレーザーライフルで反撃する。

しかし敵もさるもの。器用に回避し、直撃させることはかなわなかった。

だが相対距離は80もない。被弾覚悟で一気に距離を詰める。
一番近い敵に至近距離まで近付いたところで左腕のブレードを展開。そしてその相手の中心部付近に突き刺した。直ぐにブレードを消し、左手で敵を押さえるような形でそのまま突進する。

そして左腕を前に突きだし、被弾したMT09E-OWLの方向へ飛ばした。
2機が接触し、金属の擦れ合う不快な音が辺りに響き渡った。
そこへレーザーを放つ。レーザーは貫通し、2機とも爆発四散した。
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