名を刻む者

□第2話
1ページ/24ページ

初めてのミッションを終えて二日が経った。この二日はただ怠惰に過ごしていた。何度かリンに連絡しようかと思ったが結局しなかった。

アークからも依頼の連絡が来ていなかったため今日は軽く朝食を摂った後は街をブラブラすることにした。外は雲一つ無い快晴だ。

適当に服でも見て回るつもりだったが、気付けば道行く人にばかり目が行っていた。

親子で買い物に来た人、友人と一緒に歩きながら今日の予定を話す人、恋人と口論しながらも手を繋いでその一時を楽しむ人、皆一様に幸せに見えた。そんな街に自分はひどく場違いな気がした。

ミラージュの支社を中心にして発展したこの街は常に人々の笑顔と活気が満ちている。そんなところが好きで自分の住む場所に選んだのだが、今は逆にとても欝陶しく思えた。

そんなことを考えながら歩いているといつの間にか公園に来ていた。

木陰の芝生に腰を降ろしてぼーっと楽しげに遊ぶ子供達を眺めていた。

「ふぅ………。」

思わずため息が出た。何だか急に年を取ったような気がして少しおかしくなった。

レイヴン……………続けるべきかやめるべきか、まだ答は出せないでいた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ