名を刻む者
□第2話
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「お・に・い・さん」
若い女性、いや女の子のような声が聞こえた。声のした方を向くとすぐ近くにジーパンを履いた女性がいた。
「暗い顔してどうしたの?」
その女性は明らかに自分の方を見て言ってきた。いつもなら相手にするのだが面倒だったので無視することにした。
「ちょっと、ちょっと!人が声掛けてるのに無視はないんじゃないの?!」
こういうタイプは苦手だ心の中でそう思った。リンみたいにしとやかな女性はいいのだが、こういう風にでしゃばりな人間は男であっても正直好きになれない。
と、いつの間にか目の前に女性は立っていた。
「……何か俺に用ですか?」
無視したままでいるとしつこく言ってきそうなので仕方なく返答をした。
「やっと返事したわね。ていうか最初っから返事ぐらいしなさいよ!」
うるさい人だな。と思いつつもとっとと言いたいことを言わせて退散させることにした。
「何の用ですか?」
同じ言葉を繰り返した。
「あぁそうだった。」
そうだったって忘れてたんかい!!と心の中でツッコミを入れておいた。
「別に大したことじゃないわ。私の昼寝の特等席からどいてもらおうと思ったのよ。」
「……はぁ?」
何を言ってるんだこいつは?