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□嘘つきな君に 前編
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「おはよう光!ね、手繋ご!」
「嫌や。暑苦しい、ちょっと空気になっといてください」
「な、可愛い彼女がせっかく手を繋ごうとしてるのに!」
「凛先輩が可愛い?ほんなら世の中の女は全員絶世の美女っスわ」
「むう。そんなの分かってるもん!どうせ私はブスですよー」
「そうやって拗ねてる顔、ホンマ不細工」
「あ……!光がキスしてくれたら私可愛くなれるかも☆」
「やかましいっスわ。どっか行ってまえ」
「………(きゅん)」
「…何で今のでそないに幸せそうな顔してんスか。先輩アホっスわ」
先輩、アホっスわ。
凛にはこの言葉を連呼する一つ下の彼氏がいる。
財前光。
凛の前でも滅多に笑わないし、かなり冷たく接している。
もともと財前は人にベタベタするタイプではないから、凛も周りも「これが財前なりの愛情表現」と割り切っていた。
当の本人も「俺の女に触れんでくださいよ。謙也さん汚らわしいんで。ホンマ消えてまえばいいのに」と言って謙也を号泣させたこともある。
今もこうして同じ道を歩いて登校しているのだ。
きっと財前も凛の事を大切に思っているのだと皆思っている。
とまあ、こんな感じで財前は所謂「ツンデレ」だが、………今日の財前は何かが足りない。
「ねーえ光………、ちゅーして」
「は?やっぱ先輩どっかに頭ぶつけたんとちゃいます?早よ精神科に行け」
「……頭ぶつけたのに精神科?」
そう、今日の彼には「デレ」の部分が足りないのだ。
いつもなら凛が「ぎゅってして」だの「ちゅーしよ」と甘えると、「…ホンマしゃーない先輩っスわ…一回だけや」と、してくれるのに。
今日はなぜか拒み続けている。
凛は財前はきっと照れているんだと解釈した。
ところが、だ。
「……あんま近寄らんでくださいよ、目障りや」
「………!そっか、……ごめんね」
「…………。」
正門に着き、スタスタと一人で歩き出す財前に凛は少し驚いた。
(光いつもと何か違う……何かあったのかな…?)(もしかして私のせい……?)
ぼーっと財前の後姿を眺めていると、凛に聞き慣れた声がかかった。
「ああ、千鶴、おはようさん。……ぼーっとして、どうしたん?あれ、財前は?」
「……白石、君…うう〜…」
「わ、泣くなて…なんや言うてみ?俺が聞いたるから」
凛と白石は3年間ずっと同じクラスだ。
イケメンで明るくて優しい……クラスどころか学校中の人気者。
財前の所属するテニス部の部長ともあって二人はかなり仲が良い。
そんな白石を凛は日頃から頼りにしていた。
「私……光に嫌われちゃったかもしれない」
「!……財前と何かあったん?」
「特に何もなかったけど…私、光に避けられてるのかな……」
「まあ、財前朝は機嫌悪いのがほとんどやからな……気のせいかもしれんで?」
「そうだといいんだけどなあー…」
「財前の気に障る事も、何もしてへんのやろ?」
「……うーん…いつもと同じだけど、いい加減嫌気がさしたのかな」
「財前に限って、そんなの事あらへんって」
「うん。……でも本当に嫌われちゃってたらどうしよう…!」
「まあとにかく、様子見てみるしかないやん?元気出しいや」
「なんか……色々とありがとう。元気出てきた!」
「そうか?また何かあったら相談に乗るわ」
「うん!」
「ほな、教室行こか。早くせんと遅刻してまうわ」
「うそ、もうこんな時間!?急がなきゃ!」
「はは、長話しすぎや。ほら走るで!」
白石から差し出された手を、凛はそっと握った。
(これって………大した意味はないよね?)
「ちょ、白石君……っ、速すぎ!」
「あ、チャイム鳴り終わってまう」
(園原!遅刻だぞ!………ん?白石もか?)
(凛が体調悪いみたいで保健室に行ってましたわ)
(………っはあ、はあ…)
(園原、大丈夫か?息が荒いぞ)
(大丈夫です……)
駄作すぎる。こんなんでも後半に続いちゃいます(^w^)
制作時間30分(笑)
後半ではあの子が可愛いかもです!
……2011/6/19/Sunday●●